マフィアボスが半生を語る:ロベルト・サヴィアーノ【最終章】

反マフィア作家ことロベルト・サヴィアーノによる、元カモッラ(ナポリマフィア)のボスへのロング・インタビュー。
やっとこさっとこの最終回であります。お付き合いくださいました皆様、有難うございました。
あっ、毎度のことですが、第1章第2章第3章がまだの方は、そちらからどうぞ!

ナポリ 『マフィアボスが半生を語る:カモッラの台帳』

マフィア対策本部は、プレスティエリから台帳10冊ほどを押収している。
ドラッグ売買をしていた各広場の毎日の収支や、麻薬密売網について記されているのだ。マフィア組織員らが毎日、経費を書き留めていたノートブックだ。食料品店の店主がやるように、ノートを開き、ツケで買物をした顧客の名前を書き込み、収支を記入する。プレスティエリの部下達がそれをしていたのだ。何百にも渡るページには、不安をかき立てるような内容がずらりと書かれている。相手の隙をつくと言うのが、絶対的な日常なのだ。
光熱費や自動車、隠れ家や自宅の清掃料金などの支払いも書かれていた。それから、銃声音を表した『パンパン』と言う言葉で表された経費、『フェデリコ葬儀』と言うのは殺された組織員の葬儀費用のことで、ネガティブなことに対する経費は『ペテンの機械工』と書かれている。衣料費もある。殺し屋が仕事の後、着ている衣服を捨てなければならないからだ。
『面会』と言う経費のことは良く耳にする。組織員が収監された際、その家族が刑務所に面会に行くための費用のことだ。それから、『妻の花』と言うのも噂されている。収監中の組織員の妻の誕生日に贈る花束の代金も、マフィアファミリーの出費となるのだ。
ハッシッシや精製コカインの重量を記した数え切れないほどの数字や、金がやって来る各区域の名前…『ZP』は『プッフィ・ゾーン』のことを指し、『ZA』は『アルコ・ゾーン』、『ZM』は『モンテローザ・ゾーン』と言う風で、ドラッグを売りさばく各広場のことだ。
『ME』もしくは『LO』のことも忘れてはいけない。『Merda(糞)』もしくは『Lota(田舎の小僧)』の意味で、月々、警察官に支払われる賄賂であり、これにより捜査や逮捕を回避できる。それから多くの弁護士らには『弁護士月給』と言う名目で、ファミリーから給与が支給されている。

大虐殺
マウリツィオ・プレスティエリは幼少時から、ボスになる宿命を背負っていたのではない。おそらく、その実業家としての才能ゆえに、ファミリー内で投資家としての役割が与えられたのだろう。
グループ内の幹部ボスらには弟のロザリオや、特に、大物ラッファエーレ・アッビナンテがいた。カリスマ性に富み、沈着冷静。パオロ・ディ・ラウロの下、その全幅の信頼を寄せられていた男だ。
プレスティエレ・ファミリーは、別ファミリーの地区ボスと争うこととなり、その結果、相手側の権力を奪い取っただけだった。ルオッコがトスカーナ地方に留まらねばならない時期を利用してのことだ。
通称『カパチェッチア』ことアントニオ・ルオッコ。イタリア国内で起きたファミリー同士の闘争では一、二を争う残忍なものだった。次々に処刑が実行され、両ファミリーで10名ほどの男達が命を落としていった。
そして1992年5月18日、ルオッコは部下8名を引き連れ、セコンディリャーノ地区にあるバール『Fulmine(稲光)』に現れる。
機関銃、ピストル、パンプアクション式のショットガン、爆弾を手にし、5名の殺害に及んだのだ。その中に、ラッファエーレ、マウリツィオの長兄、ボスがいた。そして、弟のロザリオも。
パオロ・ディ・ラウロはもはや冷静な判断などせず、マフィアの掟では禁じられている類いの処刑を命じた。
アントニオ・ルオッコの母親を殺れと。
「イタリア中のマフィア・ファミリーが了承できないと言ってきたんですが、パオロ・ディ・ラウロはこう返事をしたんですよ。“これが俺の戦い方だ。”ってね。」
このような流れで、プレスティエリはボスになった。
「私らは全てを手に入れましたよ。レストランにバール、ホテル、世界中の家、工場、店、請負契約。
私らに入札させるためにナポリの北部エリア拡張プロジェクトが始まった時、私らはセメントミキサー車を阻止しました。運転手らの鼻先に38口径の拳銃を突きつけ車から降ろさせ、占領したんです。コンクリートミキサー車も阻止して、中のセメントを乾かさせてね。で、企業の方ではセメントが使い物にならなくなる、コンクリートミキサー車は廃棄せざるおえない、請負契約まで失うわけです。だって、仕事が進まないんですから。この段階で、私らが請負うことになるんですよ。
コカイン、請負い工事、政治…こうやって人々の生活を支配してゆくんです。」
政治も?
「もちろん、政治もね。ここはしっかりメモしておいて下さい。信じられないような話しですよ。でも、毎日の現実にすぎない…政治の上での現実に過ぎないんですから。」

[ 完 ]

(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事:La Repubblica 2011年02月08日






「やっと最終回です〜!」なんて言いながら
実はこの記事自体に《続き》があるんですよ…
ご紹介するかどうかは、目を通してみて検討しますね。

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