マフィアボスが半生を語る:ロベルト・サヴィアーノ【第三章】

反マフィア作家ことロベルト・サヴィアーノによる、元カモッラ(ナポリマフィア)のボスへのロング・インタビュー。
さあ、第3章まで来ましたよ〜。次回で最終回です。
第1章第2章がまだの方は、そちらからどうぞ!

ナポリ 『マフィアボスが半生を語る:カモッラの台帳』

コカイン・マネージャー
私はコカインに関する、算術問題を出された。小学生レベルなのだが、めまいがするような計算だ。
「1kgの純粋なコカインをかさ増しする。上物が欲しいなら大体2kgまでですね。もう少し純度を下げても良いなら3kgにも出来るし、4kgまでなら大丈夫。
1kgのコカインは運搬料込みで、セコンディリャーノの町まで大体1万〜1万2千ユーロ(約110万〜130万円)で届くんです。卸値5〜6万ユーロ(約570万〜680万円)分が小売値で15万ユーロ(約1700万円)って辺りですね。つまり、儲けが正味10万ユーロ(約1100万円)ってことですよ。
それでね、1日2kgまでさばける広場が何ヶ所かあったとする。24時間営業でですよ。じゃ、これで1日の収入は幾らになります?」
単純計算だ。
例えば、広場15ヶ所でさばけるのなら、コカインだけで1日300万ユーロ(約3億4千万円)入ってくることになる。私は在庫状態について訊ねてみた。
「コカインはね、私らはアストゥリアス地方(スペイン北部)で仕入れてたんですよ。」とプレスティエリが答えた。
「バスクの連中とコンタクトを取ってね。」
かつて私が《エタはカモッラとコンタクトを取っている》と言った時、大騒ぎになったものだと話すと、プレスティエリはこう言った。
「知ってますよ。みんな、エタとは平和を結びたがってますしね。だから、そのことを認めるわけにはいかないんですよ。どこかの政治組織がバックについているなら交渉できますけど。麻薬密輸に絡んでるような政治組織とならね。どう思います?とにかく、私らはバスクから仕入れてたんですよ。エタが取り仕切っていたバスクの密輸業者でしたね。その後、あっちに行くのは辞めましたけどね。ラッファエレ・アマート、通称『レッロ・スパニョーロ』って奴で、私らのスペイン代表だったんですが、そのレッロが南米の連中と直に取引きし始めたんですよ。コロンビアのカリの連中と堅く手を結んでました。パブロ・エスコバル相手に戦争して勝った連中ですよ。取引きはね、こんな風に進めてたんですよ。コカインの積み荷は全て、まず半額の値段だけ支払われるんです。それで、連中の所に人質として1人残るんですよ。もし、残り半額が支払われなかったら殺されるってわけで。でも、レッロは最高の待遇を受けてましたよ。いわゆる、その人質時代にね。ホテル暮らしに、ギャンブル、女。」

マウリツィオ・プレスティエリは10年で、界隈の金持ちの一人に、そして最も敬われるボスの一人になっていた。最高潮の際には、月々5百万ユーロ(約5億6500万円)の収入があったのだ。
ギャンブルに高級車を執拗に追い求めるようになった。フェラーリのことは崇め立てていた。
「でも、ナポリでフェラーリを乗り回すのにはウンザリしましたよ。皆にジロジロ見られて、寄って来られてね。田舎でね。フェラーリに乗るのはモンテカルロだけにしたんですよ。」
パオロ・ディ・ラウロとプレスティエリの違いと言えば、生きる術を心得ていたと言うことか。
「どうやって喰っていけば良いか分かってましたよ。私にとって人生って言うのは、一日一日を生きて行くってことですから。旅に出て、人と会って、金を稼いで、ひどい目にあわされそうになったら殺って。人生、何でもかじってきました。常に家族には不足な思いなどさせなかったし、厄介ごとからも遠ざけてました。」
コカインだらけのイタリアだが、プレスティエリは匂いを嗅いだこともなければ、どんな感覚になるのかも分からないのだと。
「コカインをやったことないんで。私らの間でボスになりたかったら、ドラッグ漬けになってはいけないんでね。カザレージ(ナポリのカザル・ディ・プリンチペを仕切るカモッラ)達も、この点は大切にしてますよ。コカインをやった奴がいるかどうかを調べるのに、何もしませんでしたけどね。夜になって戻ってきたら、パオロ・ディ・ラウロの前に連れて行くんです。目の前にパスタを一皿置いて、喰えってね。ヤクを吸ってきたら、腹は空いてない。食べないか、無理に食べようとしているのが分かれば、もう、できない。もう、信頼できないんですよ。外されるわけです。
良い殺し屋ってのは吸ってちゃいけないんです。じゃなきゃ、大変なことになる。絶食してなきゃならないもんなんですよ。色々な理由からね。第一に、張りつめていなければならないから。居眠りなんかしないようにね。腹を下してもいけない。第二に、もし腹を撃たれるのに喰ってたなら、すぐにくたばってしまう。絶食してたなら、命拾いできるんですよ。」

[ 最終章に続く ]

(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事:La Repubblica 2011年02月08日






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