マフィアボスが半生を語る:ロベルト・サヴィアーノ【第一章】

反マフィア作家として有名なロベルト・サヴィアーノが最近、ミラノで行なわれたベルルスコーニ首相解任請求集会に登場し、なかなか話題を呼んでおりました。
こりゃ〜伊紙『La Repubblica(ラ・レプッブリカ)』あたりに、ガツンとくる記事が出るな〜と思っていたら…はい、出ました。
なんと、あのサヴィアーノ氏が元マフィアボスに、その半生をインタビューしております。
長編ですんで、毎度のように4回シリーズでご紹介します。
でもね、この長編サヴィアーノ記事じたいが続き物なんですよ…。
ひぇ〜、応援クリックPrego…じゃない、まずは第1章より、どうぞ!

ナポリ 『マフィアボスが半生を語る:カモッラの台帳』

マウリツィオ・プレスティエリ、カモッラ(ナポリマフィア)のボス。
30名の殺害指示を出したとして起訴されたが、現在は司法に協力している。
そして、そのボスが今、自身の生涯を語っている。
「スカンピア(ナポリ北部の郊外住宅区)の地中に埋まってるのが、お宝でね。宝石の山ですよ。エメラルドにトパーズ、ルビー、ラピスラズリ、そしてダイヤモンド。特にダイヤモンドだな。全部、コカコーラのボトルに入れてあるんです。1リットルのやら500ミリリットのやら、ペットボトルにね。マジで言ってるんですよ。嘘じゃない。」

この話を聞き、私はしばらく呆然としてしまった。そして、ボスに向かってこう訊ねた。
「それで、そのお宝とやらは、どこに隠してあるんだい?正確に、どこに?」
「それを知ってるんなら、検事さんらに教えてますよ。だが、探さなければね。あそこに、あるんだ。どっかに穴を掘って埋めてある。一ヶ所にまとめないで、あちこちにね。この目で見たんですから。
ディ・ラウロ一家がアルコ中央部にある連中の縄張りに行って、その宝石を持って戻ってきたんだ。ペットボトルの口に入りきれないほど大きい物もあったんですよ。ナポリ-ローマ間の高速道路が、パオロ・ディ・ラウロのダイヤモンドごと舗装されたりしてね…。」

私に向かってこう話すのは、マウリツィオ・プレスティエリ。
ナポリ北部セコンディリャーノ地区にあるリオーネ・モンテローザを仕切るカモッラ・ボスだ。ナポリの犯罪組織『セコンディリャーノ同盟』の幹部ボスの一人なのである。

「イタリアの麻薬密輸業も今じゃ資金洗浄ってことで、特に宝石類を売っているんです。価値が下がることは絶対ないからね。むしろ、ずっと上がり続けているし、隠すのも簡単だ。それに、換金するにもトラブらない。世界中、どこでだって売れるしね。家や車、別荘は押収されるでしょ。紙幣はどこかの隙間に隠しておけるけど、しばらくしたらカビてぼろぼろになってしまう。それに比べてダイヤモンドってのは…コマーシャルじゃないけどね、永遠ですよ。」

マウリツィオ・プレスティエリと言えばパオロ・ディ・ラウロの右腕だった男だ。
起訴状によれば、30名の殺害指示を出してきた。そして特に、コカイン市場に初めて投資したイタリアのマフィア・グループからなる犯罪組織の、その歴史を担った一人なのだ。
当時、彼らはドラッグエリートが集団化することで、未来があると思っていた。
2003年6月に逮捕された時、プレスティエレはリッチなボスだった。家族と過ごしていたスペイン南東マルベーリャは、欧州のすべての犯罪組織にとって第2(時には第1の)の我が家とされる町だ。
4年服役し、突然、司法協力しようと思い立ち、そして現在に至るまで、あらゆる裁判においてプレスティエリの供述は信憑性を持ち、真実であると見なされている。
その告白は本にまで掲載された。ナポリの対マフィア検事の一人、プレスティエリの司法協力を管理しているルイージ・アルベルト・カンナヴァーレ氏。このカンナヴァーレ検事が、小説家のジャコモ・ジェンジーニ氏と共に 『I Milionari (百万長者達:Mondadori出版)』を綴っている。
セコンディリャーノ地区を仕切るファミリーらによる事件をもとにしたノンフィクションなのだが、プレスティエリは『カヴァーニ』と言う名前で登場し、実際に起こした事件について特に詳しく記されているのだ。
同書では、急激に成り上がってゆき、ゆっくりと、そして痛ましく落ちて行く様子が、ハードな乾いた語り口で綴られている。
多くの読者が、小説仕立ての作り話、フィクションだと思い込んだストーリーだ。
なぜなら、もしも貴方が、いまだ息をし、憤りを覚える人間であるのならば、こうした出来事が現実のものだと知れば、もはや夢も希望もなくなるからだ。

マウリツィオ・プレスティエリはボスである。いや、ボスだった。
セコンディリャーノ地区のファミリー同士による復讐劇では、敗北した側に属していた。
司法協力を始めた際は、プレスティエリ・ファミリーと言えばまだかなりの力を有し、経済的にも堅牢な組織体制を保っていた。最初の自供を終えると、ファミリーは一つ一つの起訴状に対し、撤回するならば100万ユーロ(約1億1千万円)ずつ支払うと言ってきた。司法協力を阻止すべく、一財産にもなる金額を提示してきたのだ。しかし、プレスティエリは立ち止まらなかった。それどころか、この買収の目論みまでをも訴えたのだ。もはや、マフィアボスであり続ける気はなかった。
「私は、このまま変わることはない。やってしまったことは消せませんからね。ただ、今は別の方法で行動することはできる。」
私はプレスティエリと警察内で数回会った。秘密の場所で、時間は指示されていたが、ものすごく早く着くことも、遅れて行くこともできた。
毎回、プレスティエリは非常にエレガントで、良く日に焼けていた。ごま塩まじりの頭、チャッカーブーツを履き、ブランド物の腕時計をはめている。権力を失い、鼠のように隠れ住む男にありがちな荒れた雰囲気は微塵もなかった。

「私のことを覚えてますか?」と訊いてくる。
「私は、あなた方に一泡吹かせてやったことがあるんですよ。昔のことですがね…。今じゃ、私も変わりましたよ。」
プレスティエリが何の話をしているのか、私には全く見当もつかなかった。
だが、ナポリで『O’ sicco(痩せっぽっち)』と呼ばれていたこの男は、覚えているのだ。
「裁判を傍聴してましたよね。私の母親が私にキスを送ってよこしたんですよ。でも、あなた方は、あの年寄りがパオロ・ディ・ラウロに向かってそうしたって思っていたでしょ。あの時、“あれは誰だい?何がしたいんだ?”って顔をしてましたよね。あの町に、あなた方を引き寄せたのは、この私だったんですよ…。」

[ 第2章に続く ]

(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事:La Repubblica 2011年02月08日






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