ベルナルド・ベルトルッチ:リトル・ブッダはブルーナットのおかげ【中編】

イタリアの巨匠ベルナルド・ベルトルッチ監督が、あのキアヌ・リーブス主演の『リトル・ブッダ』秘話について語っております。
3回シリーズで掲載してますので、前編がまだの方はそちらからどうぞ!

『ベルトルッチ監督:リトル・ブッダを撮れたのは友ブルーナットのおかげ』

いわゆるアンダーグランドと言われた世代ですね。
「パオロは情熱的にアンダーグラウンドに身を投じた初期の連中の一人でしたね。ジャンルとしては手書きの日記に近いかな。我々が語りたかったような、前もって示し合わせたストーリーなんかじゃなくね。
彼は軽トラを持っていて…僕達は『小型バス』って呼んでたんだけど、その後、それに乗って姿をくらましたんですよ。7〜8人の勇ましい友達連中と一緒に東洋に向かってね。それ以来、完全に音信不通。ただ、カトマンズにいて、当初のメンバーはパオロと奥さんのプーピーと、もう1人誰だかだけになってしまったってことだけは分かってたんですけどね。
1968年か69年のある日、突然、パオロが姿を現したんです。もう、まったく思いがけなくね。いつものポポロ広場で…でも『Rosati』ではなかったな。広場の真ん中の噴水で、白いチュニカみたいなのを着て大理石に腰かけてたんです。節くれだらけの旅に使う長い杖を持ってね。まぁ、一種の仮装ですよね。パオロは仏教徒になっていたんです。」

「あの日、パオロに会ったこととか、彼の撮った『Vieni dolce morte(甘美な死よ、来たれ)』ってタイトルの映像が強烈だったことは良く覚えてますよ。全部ひっくるめて、彼のことはもっと真剣に受け止めなきゃいけないって思ってね。
パオロの変貌にはどこか詩的で美しく、経験の端々がにじみ出ていて…僕は非常に興味を掻き立てられてね。
長年に渡って何度も顔を合わせてきたけど、1990年代初めに、僕がパオロに向かって “あるストーリーを思いついたんだ”と言った時が、最も記憶に刻み込まれてますよ。
僕は西洋の『転生ラマ(編集部注:チベット仏教の教義で、この世の衆生を教え導くために、如来、菩薩の化身として現世に姿を現したとされるラマ(師僧)のこと)』の話に衝撃を受けていてね。
あるスペイン人がいて、彼とその妻は仏教徒で、転生ラマを探しているグループが彼らの息子がそうじゃないかと言ってきた。それで、そのスペイン人は息子に教育を受けさせるためカトマンズに送り出すわけなんだ。ちょっと『リトル・ブッダ』の話みたいなんですよ。」

「それで、その話をパオロにしたら、 Chogyal Namkhai Norbu師僧(編集部注:長年に渡りイタリアに居住したチベット高僧)を紹介してくれてね。
トスカーナのアルチドッソの町にある自宅に訪ねて行き、それをきっかけに脚本家とストーリーを練り始めた。始める前にパオロにはこう言ったんですよ。
“ダライ・ラマに許可を求めなければならない。無理ならば、この映画は諦めるつもりだ。”って。」

こうして、脚本家のジェレミー・トーマスとパオロと僕と、パオロの『スーパー8カメラ』と、皆でウィーンに向かったんです。
18世紀に建てられた素晴らしいホテルで、そこにダライラマは亡命中のチベット政府と一緒にいました。安心感を与えてくれる人物でね。そのダライ・ラマを前に、ブルーナットは大変な興奮状態でカメラを回していましたよ。僕に仏教を教えてくれたのは、多少は彼でもあるんだってことを知っていたしね。
ダライラマとは長い時間に渡って話をしました。映画は『リトル・ブッダ』と言う題名で、それは師の宗教を欧米に説明したいからで、それについて欧米人は何も知らないから子供に聞かせるように説明するつもりだと話したんです。
素晴らしかったのは、ダライ・ラマがたまらずに大笑いしながら僕の考えを受け入れ、こう言ってくれたことですよ。
“私達は皆、己の中にリトルブッダを抱えている”とね。
そうしてパオロは、興行から離れた実験的映画の道をたどった者達全員にとってのお手本になったんですよ。

[ 後編に続く ]

(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事: La Repubblica 2010年12月17日


管理人の好きな『シェルタリング・スカイ』って
伊タイトルは『Il tè nel deserto(砂漠でお茶を)』なんですよ。
なんか急にユル〜いイメージになってしまうんですが…

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