あの伊建築家がイタリアを語る【後編】:レンゾ・ピアノ

銀座エルメスのビルを設計した伊建築家レンツォ・ピアノ。
3回シリーズで紹介しております同建築家の長編インタビューなんですが、今回は完結編と言うことで、レンツォ・ピアノが政治について語っております。
前編中編がまだの方は、そちらからどうぞ!

パリ 『イタリアに唾するのを見ると腹が立つ。グリッロの運動は正しい』

クラウディオ・アッバード氏(ミラノ出身の指揮者)が、ミラノ植林の費用を担うためにコンサートの案を出してますね。何ら実施されてませんが。
「ミラノのことは常に愛してますよ。偉大なる町のままだ。この町の息の根を止めるには、さらに手を打つ必要がありますよ。まったくね、息の根を止めようと思ったらあらゆる手を尽くさなきゃ。この植林の件の意味は大きいですよ。情けない話と言うだけじゃなくね。打てば響くように…と言うわけには行かないものですね。アッバード氏はコンサートをするには至らず、ミラノの町に植林はされなかった。一体、どうしてそうなったのか?シニズム、それもと無関心?」

ピアノ氏は左右の政治派閥は関係ないと説明する。
ジェノヴァの町はウォーターフロント再構築プロジェクト(空港の海上移設計画)を断念しましたが、あれは本当に可能なものだったのですか?
「もちろん。資金もありましたしね。150万立方mのスペースが確保や、独占権の打破、昔ながらのシステムを一新できてたらの話ですけどね。残念ながらイタリアでは全てがどんどん難しくなってきてます。
トリノの高層ビルに関しては、やる気が失せるぐらい細かい所を突っつかれましたよ…。いや、もちろん海外でだって議論が白熱することは多々ありますよ。この写真を見てください。ロンドンの新しい高層ビル『シャード・ロンドン・ブリッジ』です。毎時間、2cmづつ高くなっていってますよ。機械も昇り続け、止まることがない。チャールズ英皇太子はお気に召さなかったんですが、市民アンケートの結果、こちらの言い分が認められ、現在、建設中と言うわけです。イタリアではこうは行きませんね。素晴らしき国、己でその身を痛めている…ですね。」

ラクイラ(2009年4月に大地震が発生した町)は、いつになったら建設が進むでしょう?
「ラクイラについては、マスコミがうわべだけで書き立ててしまいましたね。町の再建は長く険しいものとなるでしょう。我々はささやかなプロジェクトを提供するつもりでいます。公園内に250席の音楽ホールの建設計画で、アッバード氏のアイデアです。トレント県から600万ユーロの予算が出されています。」

ベルルスコーニ首相によるミラノ2(郊外都市)はご覧になりましたか?
「行ったことないですね。お願いですから、ベルルスコーニ首相の話題は振らないでください。」

北部同盟(連立与党の一つ)はどうですか?
「恐怖を感じています。大変にね。あの偏狭さが恐いんですよ。イタリアに対し唾するのを見ると大変に腹が立ちますね。愛国心を右派に自由にさせるべきではない。」

同郷のベッペ・グリッロ氏(人気コメディアン。政治活動も有名。)については?
「親愛なる友人です。良く揉めますけど、形だけね。彼がやってる市民運動は常に正当なものですからね。」

左派については?
「苦々しく思ってます。魂の底では、それなんですがね。私は質素な家庭の生まれで、父はファシスト党のために働きたがらなかった。でも、世界を保守派と革新派に分けるような派閥には偏るなと教えられました。父はウーゴ・ラ・マルファ(伊政治家)とタヴィアーニを高く評価していました。今でも、左派に天才や才能豊かな者はいますけどね…。」

一般社会から選ばれたリーダー、いわゆる『畑違いの大物』と言うのは、解決策になりえますか?
「誰であれ政治ができるとは思いませんが。政治と言うのは一つの職業です。それは途方もなく高貴な職業なのです。そのことが、政治の周辺に伺える嘲笑をさらに耳障りなものにしているのです。ポリス(都市国家)のアートなんですよ。崇高なるアートであり、傑出した人物により実践されるべきもので、即興で出来るようなものであってはならない。積極的に活動し、準備し、鍛錬が必要です。仮に『畑違いの大物』が存在したとしたら…もちろん、自分の仕事分野以外に、その当の分野でも最高に傑出した人物でなければならない。私には出来ませんね。」

「時々、夜にね、『犯罪現場』に行っては楽しんでるんですよ。グーグルアースでね、色々な作品を見て回るんです。シカゴ美術館とかね。オバマ大統領の町のシンボルですよね。カリフォルニア科学アカデミーとか、関西空港とかね…。」

現在、建設中の作品がロンドンのオックスフォードストリートにありますね。
「非常にカラフルな広場を設計したんですよ。」

それからハーレム。コロンビア大学の新キャンパスが建設されるのが、かつてブラックパンサー党が暴動を計画し、また、ウエスト・サイド・ストーリーが撮影された場所でもありますね。
「もう芝生も池もリスもいらないですね。大都市のような、開放された大学になりますよ。学術大学院のことも考慮し、脳研究向けのセンターも建ててね。」

マルタ島の新国会議事堂は、第二次世界大戦中の爆撃で空地になった場所に建てられますね。アテネのピレウスには新しい図書館が。
「いわゆるアゴラ…公共広場のような物を考えました。」

新たなベイルートのマーティル・スクエアのような…。
「1990年代のベルリンを彷彿させますね。悲劇の後に生まれ変わろうとする意思。ベルリンへ行くと、いつも故郷に帰ったような気がします。広場にマリーネ・ディートリッヒの名前を付けるのに、ドイツ人を説得する必要があったんですよね。当時は、まだ裏切り者扱いされてましたから。ペーター・シュナイダーは、ベルリンは未だに自己憐憫の渦巻きと尊大さの渦潮の間で締め付けられていると言ってます。罪の意識に耐えている。だが、この意識ゆえに我々のことを、ナチスの戦いの下で、共産主義政権の下で苦しみ抜いてきた者達の子供、孫として扱ってくれるような深い優しさがあると言える。」

グランド・ゼロにイスラム教寺院を設計されるのでしょうか?
「いいえ。あの9月11日、私はあそこにいました。息子達(カルロ、リア、ジョルジオ)と一緒にね。末息子のジョルジオは1才でした。グランド・ゼロを再建する者にも子供時代があったのだと願いたい。これほど劇的な出来事の跡は残しておいた方が良い。それが、不動産投資の思惑が動き始めてしまってね。」

サン・ジョヴァンニ・ロトンドにあるピオ神父の新教会には、レンツォ・ピアノ氏の署名もありますね。
「人と喧噪で溢れかえった場所ですよね。年間700万人が訪れる。でも、恩寵を賜ったのは1%…7万人に過ぎない。大勢ですね。」

もう一つプロジェクトがありますね。非常に小規模ですが、大変に気にかけていらっしゃる。ル・コルビュジエが礼拝堂を建てたロンシャンに修道院を建てられますね。
「クララ修道女のために12個室、森に面した大きなガラス窓、上階には食堂を設けてね。広大な空間に、ミクロの施設です。何もない空間と言うのは、『沈黙』を建築的に置き換えたものですから。」

[ 完 ]

(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事:Corriere della Sera 2010年10月11日

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