ロベルト・ベニーニ、首相ネタで大ウケ:ロベルト・サヴィアーノ

ロベルト・ベニーニと言えば、10年ちょっと前に『ライフ・イズ・ビューティフル』で米アカデミー賞をもらった監督兼俳優兼コメディアンであります。
さて、そのベニーニが、かのマフィア作家ロベルト・サヴィアーノのTV番組に出演しました。
この番組、制作時から放映直前まで局側とのすったもんだが続いたんですが、さすがベニーニ!
同放送局では10年振りの高視聴率だったんだそうです。

ミラノ 『ベニーニが首相、ルービィ、ビンディ女史をギャグに』

ポンポンと飛び出すギャグが、ベルルスコーニ首相とルービィ事件をつないでゆく。
11月8日(月)夜、RAI3国営放送によるファビオ・ファツィオとロベルト・サヴィアーノ(写真右側)のトーク番組『Vieni via con me(一緒に行ってしまおう)』。
その第1回目に噴出したのが、ロベルト・ベニーニ(写真左側)のコメディー・トークだった(スタジオ内は拍手大喝采。翌日の集計によれば760万人が視聴し大成功となった)。
「最初に言っとくけど、セックス・スキャンダルなんてゴミみたいなもんだから。今晩、ここに来たのは政治について話すためだから。」と前置きしながら、ベニーニによる一人芝居が始まった。
「たとえ、あのニュースが本当だったとしても、私は信じないよ。本当ならとんでもないでしょ。モロッコ人の未成年の女の子と付き合ってた首相がいて、年齢を理由に首相の身元がバレなかったなんてね。」

「シルヴィオ、辞任しなよ」− シルヴィオ・ベルルスコーニ首相の話題に触れながら、ベニーニはどんどん現政府の危機に近づき、急所を突っついてゆく。
「シルヴィオ、辞任しちゃいけないよ。フィーニ(下院議長)の言うこと(辞任勧告)なんか聞くなって。そんなことしたら、私らコメディアンは商売あがったりだよ。サントロ(政治トーク番組司会者)も、ファツィオ(右写真、今回のトーク番組司会者)も、『Unità』紙も『Repubblica』紙(アンチ・ベルルスコーニ新聞)も仕事がなくなっちまうから。それにゲディーニ(左下写真、首相の専任弁護士、風貌が独特で奇怪)だって、また、昔やってたホラー映画作りを始めるしかなくなるだろ?シルヴィオ、頑張ってくれよ。私の言うことを聞いてさ。」
と言いつつも、突然、意見を翻し、
「シルヴィオ、辞めなよ…。もう、皆、これ以上は無理だから。」
そして、またまた話はルービィへ。
「話を政治に戻そうか。それで、そのルービィなんだけど…ベルルスコーニ首相が “これはマフィアによる復讐だ” なんて言ってるじゃない。マフィアの復讐って言ったら、昔は殺されたりしたもんだけど、今は風呂場にコールガール2人寄越してくれるんだな…そりゃ恐いよ〜。」
そして、息つく暇もなく、
「悪魔のマフィアさん達、あんたら最低だよ。私がミラノで泊まってるホテルの住所教えるからさ。私に復讐してくれよ。」

ビンディ女史へのメッセージ − お次ぎはPD(民主党、最大野党)へチクリ。
「ベルルスコーニ首相が言うには、裁判官はみんな左派だし、憲法裁判所も左派だし、ジャーナリストもみんな左派…。もし民主党も左派だったりしたら首相はカンカンだよ。」
そして、ロージィー・ビンディ下院副議長(右下写真、民主党所属、首相から容貌をいつも揶揄されている)への直接メッセージがこれ。
「ねぇ、ロージィ、あんた、首相に気に入られてるんだから。党のために犠牲になりなよ。」
そうして、ベルルスコーニ首相の私邸パーティーに触れながら、
「ロージィ、あんたは首相に好かれてるんだから。いっつも、あんたの名前ばかり言ってるじゃないか…。いつも、あんたの事ばかり話してさ。だから、こうしなよ。エミリオ・フェーデ(民放TV局ディクター兼ジャーナリスト、首相の友人、首相に若い女性を紹介していた疑いがある)の所に写真を送るんだよ。そしたら、首相の家に忍び込ませてくれるから。それで、首相に “私は未成年じゃないわよ” って言うだ。」
ここで、ベニーニ絶叫。
「すべて合法さ、ヨロシク頼むよ。首相と2人っきりになったら…自分が何者かを言うんだ!ロージィ、なにも恐れることはないぞ。だって、もし逮捕されたって “私はサパテロ(スペイン首相)の義姉よ” って言えば良いんだから。それか “フィデル・カストロの祖母” でも良いぞ。」

今回のギャラについて − 同番組に出演するにあたり、当初、局側からベニーニのギャラが高過ぎて払えない故の出演取消しが話題になっていたが(その後、ベニーニがノーギャラ出演を提言)、その件についてもネタにされている。
「ノーギャラで出るのはかまわないよ。RAI放送局は金がいるからね。だけどマージさん(RAIのゼネラルディレクター)、冗談はやめてよ。さっき信号で車止めて窓開けようとしたら、ポーランド人が私に気づいて、1ユーロ恵んでくれたんだから…。」
「RAI放送局には感謝してるよ。私を出してくれたファツィオとサヴィアーノにもだよ。あんた達には今夜の私のギャラの7割をあげるよ。ただってのは最高だね。私がシャンパン持ってきて、マージさんがグラスと、それからスタッフを連れてきて。みんなで乾杯したんだ。マージ・ゼネラルディレクターさん、私たちはここにいるんだけど、誰が後ろにいるわけ?誰に操られてるわけ?私を追い出して、どうするつもり?あんまりじゃないの。」

サヴィアーノと汚辱製造マシン − 同番組『Vieni via con me』はロベルト・サヴィアーノが書いた記事がきっかけで始められたものだ。
サヴィアーノはこう言う。
「しばらく前から、私は一種の強迫観念のようなものを背負っていて、それは『汚辱製造マシン』のことで。つまり、一人の人間を社会的におとしめるシステムのことなんですが。」
そして、それ故に、
「民主主義は文字通り危機にさらされています。ある種の権力に、現政権に刃向かう中で負わされる危険。『汚辱製造マシン』の攻撃が待ち受けていると言うことです。自分の私生活の卑小なレベルで攻撃されるのです。」
サヴィアーノは言葉を続ける。
「取調べを受けるのと、誹謗中傷を受けるのでは違いますからね。」
なぜならば、
「誹謗中傷と言うのは、たった一つの要素を突き、標的にした人間に対しそれを積み上げてゆく。」
『汚辱製造マシン』の目的とは、
「“我々は所詮、皆同類なのだ”と言わせようとしているのです。」
これに対し、
「“我々は違う”と声を上げねばなりません。」
また、サヴィアーノはこんな話も引き合いに出した。
「フィーニ下院議長のモンテカルロの邸宅(党所有の不動産物件を私物化した疑い)なんかは脅されてるようなものですよ。」とし、ボッフォ氏(誹謗中傷により辞任)については、
「カトリック新聞(編集部注:『Avvenire』紙)でもって現政府を批判し始めた編集長じゃないですか。『汚辱製造マシン』はボッフォ氏のことをホモセクシャルだとし、犯罪者扱いしたんです。まったくもって信じがたいことだ。」
そして、『カルドロ州知事のゲイ疑惑事件』は
「与党PDLのコセンティーノ副大臣による攻撃」としながら、サヴィアーノはイタリアの若者達に話しかけている。
「私は若い人達に、この強大な『汚辱製造マシン』の攻撃に耐え抜いたある人物について語れればと思っています。その人物とはジョヴァンニ・ファルコーネ判事のことです。」
ここから、ファルコーネ判事についての長いエピソードが挿入され、新聞記事の一節が女優アンジェラ・フィノッキアーロによって朗読される。同判事や反シチリアマフィア組織全体の名声をおとしめるような批判や試みの数々について。

ヴェンドラ州知事とサヴィアーノとゲイ − 同番組『Vieni via con me』のスタジオに、今度はプーリア州知事ニキ・ヴェンドラ氏(ゲイであることをカミングアウトしている)が登場した。
ヴェンドラ知事はホモセクシャルを指す同義語・隠語を次々に上げ連ねていった。
『INVERTITO(インヴェルティート:同性愛者)』『BUZZARONE(ブッツァローネ:男色家)』『PEDERASTA(ペデラスタ:少年専門の同性愛者)』『CRIPTO-CHECCA(クリプト・ケッカ:隠れ男性同性愛者)』等々。
そしてサヴィアーノがそれに呼応するかのように、ゲイだと見極められる特徴・所作などを上げていった。
『薄切りレモン入りビール』『清潔な爪』『岩場ビーチ用シューズ』『寝そべって編み物をする』
ヴェンドラ州知事からの辛辣コメントは次のとおり。
「自分の性的な本質はどれなのか、もう分かりませんね。」
そして真剣な口調になって、ホモセクシュアルであることを償うような言葉と言うのを挙げ始めた。
『EVIRATO(カストラート、去勢された人)』『DEPORTATO NEI LAGER E NEI GULAG(強制収容所に連行される)』『CONFINATO(流刑囚)』『RICOVERATO IN MANICOMICO
(精神病院に入院させられる)』『STUPRATO PER PUNIZIONE(罰として性暴行を受ける)』
また、一般社会でホモセクシャルを分類するための言葉として、『犯罪』『無秩序』『死への衝動』『猥せつ』『罪』などが挙げられた。
ここでファツィオ司会者が、最近のベルルスコーニ首相の発言を引用し、
「ゲイであるより、きれいな女性を眺めてる方がマシだそうですが。」と言うと、ヴェンドラ州知事がこう注釈を付けた。
「幸せである方が、ずっとマシですよ。」

(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事: Corriere della Sera 2010年11月09日

同番組、管理人も観ましたが
ベニーニ…もう一人舞台状態でした。
そろそろイタリアも政権交代クリックPrego

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2 Responses to ロベルト・ベニーニ、首相ネタで大ウケ:ロベルト・サヴィアーノ

  1. とらん 2010年11月12日 at 1:55 AM #

    ciao〜chiricoさん どこの国でも景気後退したら政治批判が多くなりますね。まぁ日本もイタリアも首相に問題ありなようですがf^_^;こちらでもベルルスコーニ首相の未成年買春疑惑がようやくニュースになって来ました。イタリアらしいな〜って感じのニュースでしたわ(‘▽’*)

  2. chirico 2010年11月19日 at 6:47 AM #

    とらんさん、Ciao!
    ちょっとサーバー移転工事なんぞをしてて、返事が遅れてしまいました。スミマセン。

    一昔前のイタリアなら、するべき仕事をちゃんとやってるなら私生活は問わない…って姿勢だったんですが、これもグローバリズムなんでしょうか…。
    昔は本当に、有名ポルノ女優を愛人にしている首相なんかもいたらしいんですけどねぇ。

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