国営放送が番組妨害:ロベルト・サヴィアーノ

最近、イタリアの国営放送では、視聴率の高い政治討論番組やドキュメンタリー番組への妨害、打ち切りが相次いでおります。
まぁ、現政権や現首相を批判している番組ばかりなんで、なにかしらの圧力がかかるのは必至なんでしょうが。
そして今や、反マフィア作家として有名なロベルト・サヴィアーノのTV番組が激しい妨害にあっているんです。

イタリア 『番組の内容が恐れられている、ゲスト抜きなら出演しない』

−ロベルト・サヴィアーノさん、貴方とファツィオ氏(伊TVトーク番組の有名司会者)が制作中のTV番組について、RAI国営放送では一体何を恐れているのですか?
「この番組にあるのは、現在のイタリアについてはっきり話したいと言う気持ちだけです。自分の国のことを悪く言いたいわけじゃない。正確には、今、起きていることについて言いたいと言う気持ちです。機能していない点を説明しながらね。もちろん、多くのポジティブ面についても触れてゆきますよ。日々、イタリアに住み続ける価値があるって気持ちになれるような、その未来の姿に夢中になれるようなね。そして、現在よりも優れた未来のために戦う価値があるって気持ちになれる側面についてね。」

−突然、番組のゲスト全員が出演をキャンセルされたと言うのは本当ですか?
「ええ。ゼネラルディレクターが予定されていたゲストらの出演を承認しなかったと、今日、聞かされました。ゴールデンタイム番組のゲストとして、各TV局が奪い合うような有名人の出演を断ったんです。」

−ロベルト・ベニーニ氏やU2のボノ氏などですよね。
「そうです。そして、その方々だけじゃないんです。ベニーニ氏もボノ氏も喜んで出演依頼を受けてくれました。番組放送日が、『Grande Fratello(ビッグ・ブラザーズ:高視聴率のリアリティー番組)』のせいで水曜から月曜に変更されたにもかかわらずね。しかしRAI国営放送の方で断ってきた。その他にアントニオ・アルバネーゼ氏(有名コメディアン、俳優、映画監督)、パオロ・ロッシ氏(俳優、シンガーソングライター)、クラウディオ・アッバド氏(指揮者)の出演も取り消されました。」

−予算の問題ですか?
「そう言ってくる可能性はあります。実際のところは、出演契約は局側に有利な条件で決められていたし、特にCMスポンサーが次々についてました。それだけじゃありません。さっきロベルト・ベニーニ氏から連絡をもらったんですが、出演料なしでも出るってRAI側に申し出てくれたそうなんです。とにかく、これは一体どんな話なんでしょう?」

−そこのところを説明してください。RAI放送局側で一体何が起きているのですか?
「局側から番組内容の草稿を出すよう言われたので、なんら隠し立てせずにゼネラルディレクターのマージ氏に提出しました。例えば、4回シリーズの番組なんですが、初回ではロベルト・ベニーニ氏と一緒にベルルスコーニ首相の私有財産について話す予定でした。それから私はマフィアとカモッラ(ナポリマフィア)についてもね。別の回では『汚辱製造マシン』に取組みたかった。あの、政敵叩きのために誹謗中傷や、(ゴシップ要素を含んだ)関係書類を利用するってやつですよ。それから、ラクイラ地震、ナポリのゴミ問題、デッルートリ上院議員の有罪判決について。」

−局側の反応は?
「公の場では何も。誰からも何も言われませんでした。ただ、番組の内容を知って以来、番組の規模を縮小させるようなことは次々にされましたね。エキストラを減らされるとか、スタジオを小さなものにされるとか、番組制作をする予定のエンデモル社との契約を締結してくれないとか、最後はゲストの出演取消しです。」

−目的は何でしょう?
「恐怖に支配されたのでは…と心配してます。放映について、誰も責任を負いたがらないし、YESとも言いたがらない。はっきりNOとさえ言おうとしないんです。そうやって、予算の問題を並べ立ててゲストの出演を取り消し、内側から番組の生命線を断とうとしてるんです。」

そのことを口に出す意図は、おありですか?
「私もファツィオ氏も言うつもりですよ。ゲストの皆さんと話してゆくつもりです。我々と肘を付き合わせて仕事をし、彼らもまた番組のことを、公衆の、一般市民のものであると考えてくれているのです。例えば、ロベルト・ベニーニ氏とは一緒にダイアローグ・モノローグ集を書いてます。2人で懸命に働いてますよ。共同作業の決定権が私にだけあるわけじゃない。」

−貴方自身はどう思われているのですか?
「私の中で一つはっきりしているのは、ベニーニ氏が出ないのなら私も出ません。番組がそんな風になってるんです。多くの声から成る対話形式で。紋切り型が続き、拍手をもらうような流れではないんです。一緒に楽しみながら、反芻しながら、自分達が理解して、観客にも理解してもらいたいんです。そんな風に進めるべきだろうし、我々はそんな風に考えていたし、そうしたいし、そんな風だからゲストの皆さんもYESと言って出演を承諾してくれたんです。考えを曲げたなら、自分達自身を裏切ることになるでしょうし、特に、視聴者を裏切ることになります。視聴者には分かるでしょう。」

−同番組にはポジティブなアクセントをつけてあると仰ってましたが、局側ではそれに興味を示していないのですか?
「わかりません。恐怖に支配されたのでは…と心配してますが。恐怖が広まったんじゃないかと。もし、スタジオがイタリア国旗の3色で飾られて、私がイタリア統一についての価値を語る南部男だとしたら、北部同盟(現与党、超右派)の怒りを買うんじゃないかって…って思う人もいるかもしれませんね。ジョークじゃないですよ。日々、我々が遭遇していることを言ってるんです。こんな風で働けますか?この番組は病めるイタリアの姿が描かれた絵はがきじゃないんです。この国の、隠しようのない闇を明らかにするものなんです。市井の人々がそこで生き、そこで耐えている闇をね。そして、イタリアはなんとかできるのだと、頭を高く上げ、耐えうることができるのだと。偉大なるイタリアを強調しているんです。」

−局側が拒否し続けたなら?
「問題はNOさえ言ってこないと言うことではありません。日々、何かを切り捨て、一瞬一瞬、さらなる前進を困難にしていると言うことです。普通、放映の3週間前に契約書が作られないなんてことがあり得ますか?3週間前にゲストの出演がまとめて取り消されるなんてことが?番組放映は無理だって、我々に言わせたいんでしょ。」

−敗北すると言うことになるのでしょうか?
「おそらく、これを勝利だと思っている人間もいるのでしょう、このひっくり返った国の中でね。ここで生きていかなくちゃならないのかって、時々、思うような国の中でね。超有名ゲストの出演を取り消すって言うのは、我々が彼らと話す内容が恐いからですよ。その考えがね。TVでナポリのゴミ問題や地震について、政治とマフィアの癒着について話されるぐらいなら、RAI局から大スターを閉め出す方が良いってこと。ロベルト・ベニーニのようなアカデミー賞監督、ボノのようなロック界の大スター、アッバッドのような巨匠らが、TV的な権威主義を脅かす…なんて国が他にありますかね?もしかして、北部の方が怒るんじゃないかと懸念して?」

(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事:La Repubblica 2010年10月19日

その後、RAI側がベニーニのノーギャラを受け入れ
番組制作にGOサインを出してるんですが
う〜ん、どうなることやら…

イタリアは…
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2 Responses to 国営放送が番組妨害:ロベルト・サヴィアーノ

  1. Emi 2010年10月21日 at 1:52 AM #

    イタリアのマフィアがらみの話は根が深すぎて、知れば知るほど解決策なんてあるんだろうか、と思ってしまいます。

    でも、こうしてロベルト・サヴィアーノやベニーニのような真実を公の場で語ろうとする気骨のある人たちのいるイタリアという国は、国民総平和ボケみたいな日本よりまだ健全な気がすることもありますね。

    私はスイスに住んでいますがRAIは観ることができるので放映の暁にはイタリア人の夫とじっくり観たいと思います。

  2. chirico 2010年10月22日 at 7:55 PM #

    Emiさん、スイス在住ですか〜!
    しかもご主人がイタリア人なら、イタリアのTV番組も楽しめますね。

    「イタリアのマフィアがらみの話は根が深すぎて、知れば知るほど解決策なんてあるんだろうか」と言うの…ホントにそう思います。
    何だか政治から…果てはヴァチカンまで、がっちり根に絡み付かれてるのかなぁって。

    サヴィアーノの方は、きちんと出演契約が締結されないのなら、番組自体をキャンセルすると言ってるようですが…。
    こうなったら、ぜひ観たいですけどね。

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