マフィア作家『汚辱製造マシン』を語る:ロベルト・サヴィアーノ

与野党が互いのゴシップの暴露合戦をして足を引っ張り合う…なんてことは古今東西あるようでして。
そう言えば日本では今年の6月、民主党の荒井さとし現内閣府特命担当大臣の事務所経費から、キャミソールを買った領収書が出てきたりしてましたねぇ。
まぁ、イタリア与野党のゴシップ合戦に比べたらカワイイもんです。
イタリアのゴシップ合戦がどんぐらい恐いのかと言えば…
あのマフィア作家ことロベルト・サヴィアーノ氏がこんな風に語っております。

ローマ 『サヴィアーノ、TVフォーラムで『汚辱製造マシン』を語る』

作家ロベルト・サヴィアーノ氏が読者と共にビデオ・フォーラムに参加し、カルドロ州知事からボッフォ元編集長、フィーニ下院議長へとつながる『あるライン』について検証している。
「本来のスキャンダルを覆い隠し、世間にそれをまかり通させるために、結局はみんな同じなのだだと言うことにしたいんですよ。異議を唱える者は、恐れていなければならないわけです。」

カンパニア州知事であるステファノ・カルドロ氏の件(ニューハーフとの交際疑惑)、イタリア司教会議機関紙のディーノ・ボッフォ元編集長への誹謗中傷(それによりボッフォ氏は編集長を辞任)、そして現在、騒がれているフィーニ下院議長のスキャンダル(党所有の不動産物件を私物化した疑い)。
『汚辱製造マシン』が、まさに稼働中だ。
先日夕方にスタートした生放送『Repubblica Tv』の第1回目フォーラムで、作家ロベルト・サヴィアーノ氏が読者と共に考察を述べている。

イタリア社会を麻痺させる危険がある『脅迫メカニズム』の一例として、サヴィアーノ氏はフィーニ下院議長の事件を挙げながら持論を述べた。『汚辱製造マシン』が申し分ない働きを見せているのだ。サヴィアーノ氏は全ての要素をつなぎ合わせ、イタリアの『ある一つのライン』について今後毎日、可能な限り語りながら、その痕跡を追ってゆく予定でいる。
「『汚辱製造マシン』とはある種の脅迫システムであり、それはもはや民主主義にとっての脅迫になりつつある。なぜならば、今では皆が恐れているからです。私もまた、大きな敵愾心の中で生きていることを感じる。これは死に至らせる機械なんです。」

作家サヴィアーノ氏にとっては完璧な機械であり、常時機能し、正確で、
「新聞や記者らによって作られた装置であり、思っている事を言ったり書いたりすれば、その報いを受けると言う風に機能するんです。ボッフォ元編集長事件やカルドロ州知事事件、コセンティーノ副大臣の事件(廃棄処理に関しナポリマフィアとの癒着疑惑)などは、また別の機能の一例ですよ。」と。
つまり、証拠書類一式と盗聴記録を合わせたシステムであり、読者はそれに引きつけられ、興味が的がそれてゆくよう仕向けられるわけだ。

一般市民だけが、読者だけが、この『汚辱製造マシン』に対する防御策を持っている。
「この汚れシミが広がってゆくのを防ぐことができます。きちんと判断すると言う能力でもってね。」

「コセンティーノ経済副大臣がカルドロ州知事をおとしめようとしていた盗聴事件があったんですが、私はそれに関わっていた際に、『汚辱製造マシン』と言うものが途方もない威力を持っていることに気がついたんです。その盗聴事件とボッフォ元編集長やフィーニ下院議長の事件の間には類似点があります。背後に一つのメソッドがあるんですよ。そこには一つの意図がある。つまり、我々は皆汚れている、何をしているかはさておき、皆同じなのだと言うことを世間に信じさせたいのです。」

知識層も政治家も一般市民も「皆つながっていて、皆、うつむいていなければならない。なぜならば我々が生きている今現在では、勝つのは最も狡猾な輩であり、『汚辱製造マシン』は我々全員に襲いかかってくるのだから。」
そしてサヴィアーノ氏は、こうも言葉を続ける。
「私はフィーニ下院議長のスキャンダルに疑問を抱いています。問題にされてる家が、もしフィーニ下院議長のものだとしたらどうなんでしょう?とにかく金は払ったわけだ。もちろんエレガントなやり方ではありませんが。でも、これのどこが常軌を逸してるんでしょうか?政府にはコセンティーノ副大臣のような輩がいて、副大臣への糾弾については、本題と全く関係のないエピソードが誇張されてゆく危険があるんです。」
つまり、これが『汚辱製造』のシステムなのだ。

このシステムによって、ベルルスコーニ首相が裁判から逃れようとする目論みが、そして、己に法は適用させないようとする目論みが助けられているのだ。
「首相が盾で守られる一方で、国は滅びてゆく。これが、首相が持つ唯一の可能性なんです。フィーニ下院議長が非難されているモンテカルロの住居などは問題ではなく、現在の政府に希望を吹き込む器官なのです。本題は別にあるのに。しかし、法と言うものは一方通行ではない。そして、大衆が、一般市民らがその事をすでに理解しています。」
現在、サヴィアーノ氏は2冊目の著書執筆に取りかかっていると言う。
「ええ、執筆には『汚辱製造マシン』が役立ってくれるでしょう。我々は“一番だ”ではなく“様々なのだ”と呼応すべきなのです。皆、それぞれに急所や欠点がある。でも、それにも色々あって、どうにも我慢できないと言うものばかりではないのです。」

盗聴、証拠書類、スキャンダル、言論の自由への猿ぐつわ。
「現在のイタリア政治に関する諸々を分析したならば、驚き以外の何ものでもないでしょう。もはや政治とは、ある種の闇なのです。そして、人々のムーヴメントが信頼を生み出している。ベッペ・グリッロ氏や『Popolo Viola(紫人民:紫色をシンボルカラーにしている政治運動団体)』についての話を耳にすると、それが善行であると信じられる。本来なら世間が知り得なかったような事をグリッロ氏が広めている時、グリッロ氏の評判は問題ないのだ。危険なのは、その活動が特定の人間専用に見えかねないこと。他の者達、Pdl(自由の人民党、首相が率いる与党)や北部同盟党(連立与党の一つ)の有権者らに語りかけることができないまま活動しているように見えかねないことだ。しかし、人々が自信を取り戻せるような力にはなってきている。」とサヴィアーノ氏は言う。
ムーヴメントは泥の中に埋もれないよう努めているのだ。

1979年、サヴィアーノ氏はナポリで生まれた。そのナポリの町が今や再びゴミ問題で紙面を賑わしている。
サヴィアーノ氏が幾度となく繰り返してきたように、システムが停止してしまったから。そして、停止しながら、再び発生してしまったから。サヴィアーノ氏にとしては、ナポリでゴミ問題への言及を押しとどめているのは入札システムだと言う。
「今まで何も解決されてきませんでした。もちろん、コセンティーノ経済副大臣が、組織犯罪に対し第一線で取り組んでいる政治家だとは言えないでしょう。全てを再起動させ、現状から脱却するには、その一言があれば充分であると考えられているようなゴミ王国の帝王でありながら…とはね。ただ、気をつけていなければならないのです。これは1人の人間が、どうにかできるような事柄ではないのですから。」
「噂されていることは本当なのかもしれない。つまり、政策とコセンティーノ副大臣の間で交換条件がなされたと言う話がです。“盗聴を防いでやる代わりに、カンパニア州のゴミ問題を元に戻してくれよ”と言う話。大切なのは問題は解決していないってことです。」

焼却装置についての話合いも、ヴェスーヴィオ公園内への新たなゴミ捨てについての話合いも始められることはない。
そして、今回の件では姿の見えないカモッラ(ナポリマフィア)についての話合いもだ。別に珍しいことではない。
「なぜなら、カモッラはいつでも、どこにでもいますから。」
「テルツィーニョ市での問題は深刻です。なぜなら有毒物の廃棄事件が頻繁に起きているから。今や市民らも立上がり、私としては、マスコミが同問題を頻繁に取り上げてくれればと思っています。なぜなら、廃棄物を積んだトラックが着いたが最後、もう何の手だてもないのだから。問題は一体何が捨てられたのかを市民らは知らないと言うことです。そこがイタリア北部のゴミ廃棄との違いです。ゴミ問題に奨学金を出すような北部とのね。ここでは自分の軒先に何が置かれてるかも分からないのです。もし反対運動を起こすのなら、それは今しかないのです。廃棄物を積んだトラックが着いたが最後、もはや手遅れなのだから。」

(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事: La Repubblica 2010年9月27日


わが老父はキャミソールなるものが
どうしても理解できず、
『荒井さとしキャミソール事件』は
『パンツ事件』と変換して
インプットしておりますが…

『汚辱製造マシン』に破壊クリックPrego

ブログランキング・にほんブログ村へ人気ブログランキング 海外ニュース ブログランキングへ

イタたわニュース関連記事
マフィア作家が殺された:ロベルト・サヴィアーノ
マフィア作家批判、伊首相お抱えキャスターきれる:ロベルト・サヴィアーノ
マフィア作家、イーストウッド映画を観る:ロベルト・サヴィアーノ
作家がマフィアと戦う方法【前編】:ロベルト・サヴィアーノ


Pocket

2 Responses to マフィア作家『汚辱製造マシン』を語る:ロベルト・サヴィアーノ

  1. P1 2010年10月5日 at 3:01 AM #

    イタリアではパンドラの箱の中に別のパンドラの箱がいくつも入っているようで、開いてゆくとキリがなさそうです。
    黒幕自らが首相をやっている国もそう多くはないでしょうけど。
     フェルトリが古巣のイル・ジョルナーレに戻ってきたのは去年8月。首相の女性問題やら司法改革問題が騒がれていた頃で、その直後にボッフォの事件です。この一件でフィーニがベルルスコーニを見限り始めて対立が深刻化し、最近の離反劇となりました。

     フィーニのアパート問題にしても、フィーニの彼女の元彼(ルチアーノ・ガウッチ)が偶然?にも住んでいる太平洋の島からフィーニに不利な情報が新聞に寄せられたらしく、なんだかなあという感じです。
     イタリアマフィアの手口は、悪噂の流布→組織からの孤立→殺害が常套手段ですけど、同じ手法が政界から一般社会に至るまで今行われてますね。
    政治的、社会的に抹殺されるような…

    オジサン本当に元気ですな…

  2. chirico 2010年10月6日 at 6:53 AM #

    P1さん、「イタリアではパンドラの箱の中に別のパンドラの箱が…」って、上手いですねぇ〜。
    しかも、詳しいですねぇ…あら、もしかしてイタリア在住の方なんでしょうか?

    今回、ベルルスコーニ政権もフィーニ派の票のおかげで、首の皮一枚でつながったようですから、フィーニも「悪噂の流布〜抹殺」の流れから逃れられて、アパート問題なんかも知らないうちに霧散してしまったりして…。

    そろそろオジサンも笑い話ばっかり言ってる場合じゃないかもですよ。

コメントを残す

スパム防止の為、計算に答えて下さい * Time limit is exhausted. Please reload the CAPTCHA.

Top