うつ病はサッカーで治す

さて、南アW杯もいよいよ大詰めとなり、現在、世間の注目はドイツ水族館の『勝敗予想的中タコ』パウル君の行く末に集まっているようですね…
冗談はさておき、これほどまでに世界中を盛り上げたサッカーなんですが、これがまた、ただの球蹴りにあらず。
日本でも最近は国民病と言われている『うつ病』の治療に使える…と言うニュースが出てきました。
なぜ、サッカーなのか?
それは、記事をお読みください。

ローマ 『サッカー vs うつ病』

「要するに、サッカーって言うのはファンタジーであって、大人向けのアニメみたいなもんです。」
ふと我に返り、皮肉をこめてこう言うのはオスヴァルド・ソリアーノ氏。
かつてはサッカー選手とし、その後は小説家として、南アメリカで名を馳せた一人である。
フィールドで球を転がすのがファンタジーだとか創造活動だと言うのなら、この球が治療のための画期的な道具となってもおかしくないわけだ。
ローマA保険局心療内科の心理セラピストであるマウロ・ラッファエッリ氏が、うつ病患者らの投薬を辞めさせ、新たな治療法を試みようとしたのは、こんな考えからだった。
その治療法とは『サッカーをする』こと。

『Il Gabbiano(イル・ガッビアーノ:カモメの意)』なる正式チームが誕生し、『サッカーセラピー』が世界で初めて実施されることとなった。
『ガッビアーノ』チームは、複数の心療内科により開催されているトーナメント戦で伊チャンピオンとなり、ドキュメント映画『Matti per il calcio(サッカー狂)』にも出演している。
同映画はヴォルファンゴ・デ・ビアージ、フランチェスコ・トレントの両氏による制作で、サッカーがリハビリに使われ、ひとつの集団が形成され強化されてゆく様子を、各選手たちの個人的な問題や感動、友情などを通じて描いている。
チーム名はリチャード・バックの小説『かもめのジョナサン』に由来しており、選手らは主人公カのモメのように飛び立ってゆこうと努力し、規則に従って励んでいる。この努力はサッカー・フィールドであれ、それぞれの実生活においてであれ、もう何年も前から成果を得ているのだ。
実際、メンバーらの半数以上については監視の必要や投薬量も減ってきており、家庭での通常生活ができるようになっている。

スポーツクラブでの活動 − スポーツクラブ『Il Gabbiano(イル・ガッビアーノ)』は、利用者やスタッフ、家族、ボランティアによって構成され、副会長のルーカさんは次のように話している。
「私は重度のうつ病で、心療内科を訪れたのは30才の時でした。
サッカー好きの看護士さんがいて、その人からチームのトレーニングに引き込まれたんです。そのあたりから上向きになって行きましたね。障害もなく徐々に快復に向かっていきました。
大切なのは、自分の意志や能力を以前のように生き生きさせられるようになったことですね。今の自分には仕事もあるし、家族もいる。物質科学について学び、スポーツクラブの副会長も務めています。
ここでは本当のスポーツが行われています。八百長試合なんかないですよ。チャンピオンリーグで勝たなければって病気になる人もいるじゃないですか。私達は反対に、サッカーボールを蹴って、自分達の生活を取り戻しているんですよ。」
ローマA保険局心療内科リハビリ活動の責任者を務め、同チームの創立者でもある精神科医のマウロ・ラッファエッリ氏は何年も前から、「人と一緒にいる方がいい。人々の中にいる方がね。」と持論を唱え続けているのだ。

かの精神科医フランコ・バザーリアの忘れがたき教えが常に息吹を吹き返し、様々な心理的な問題に当てはまっている。
「心療内科が築いている壁が、時を追うごとに病状を慢性化させ、ステレオタイプや症状の固定化を生み出しかねないですね。現在の精神医学における問題は、『脱施設化』ですね。
心理的な問題に対する答えと言うのは、テリトリー内で、社会的な垣根をなくすような活動をして模索して、周囲にとけ込み、自慢に思え自信を持てるようなメカニズムを作ってゆくべきなんです。
サッカーは一般的なスポーツ同様、ひとつの優れた手段です。」
しかし、なぜにサッカーなのか?
陶器作りでも、職業訓練コースでも良いのでは?
「サッカーには、あらゆる要素がまとまって入ってますね。楽しむこと、グループの形成、分かち合い、それに軽妙さとか想像的な面、自嘲的な面。物作りも良いけれど、若い人達は戸外で出る方が好きですから。
スポーツクラブと言うものが、ディケアに対する選択肢になりえるのではないでしょうか。挑発しているわけではありませんよ。ただ経験や、ここ数年の手応えから、そう言っているんです。」

伊スポーツセンターにアドホック・コミティーを − うつ症状を抑えるのにスポーツがどれほど重要な役割を果たしているのかは、ラッファエッリ医師がその活動を通じ証明してきている。
Csi(イタリア・スポーツセンター)の中にアドホック・コミティー『スポーツ&マージナリティー』を作ると言うのも、実はラッファエッリ医師からの提案なのだ。
同コミティーにより、勝者の価値観憲法の作成、普及が行われており、これはスポーツにより精神的健康を育み、広範囲にわたる地域社会の一員としての自分を取り戻すと言う計画およびモラルを含んだ声明のこと。
同コミティーによる企画第一弾『Coppa del Sorriso(スマイル杯)』は、障害者向け5人制サッカーのトーナメント杯(4〜5月に開催終了)であった。
ベテラン審判や本物の新聞記者が参加し、きちんとしたランキングや試合後のコメントもなされるような本物の選手権試合で、そんな中で選手らは主役として戦ったのだ。
試合後の打ち上げではメンバー全員、勝ったチームも負けたチームも、家族や友人らも皆一緒になって大いに盛り上がった。
ラッファエッリ医師はこう言う。
「そんな瞬間が、おそらく試合よりも重要なんだと思います。そんな時こそが、分かち合いと言うチャレンジの場なのですから。」

アルゼンチン・プロジェクト −『Il Gabbiano(イル・ガッビアーノ)』の先駆者としての一歩は、イタリアから飛び出し海を越え、日本やアルゼンチンなどの国々によってモデルケースとして取り入れられている。
アルゼンチンでは精神病患者を病院内に閉じ込めず(いまだ南米では多くの精神病院が置かれている)、スポーツを通じて現実世界と向き合わせようと言う目的で、Anpi(伊スポーツクラブ協会)振興による協同プロジェクトが発足された。
ラッファエッリ医師は、次のように強調している。
「担当スタッフの中には、セラピーとしてのサッカーの有用性に疑問を持っている者もいますし、いまだに精神病医らの間で安易に投薬や拘禁だけに頼る傾向も強く残っています。
しかし私達の活動も見てもらえば結果は明白ですし、流行精神病における伊協会が私達の活動データを検証するための研究に着手したほどです。
ひとつ、はっきりしているのは、不調に対し一人で向き合った者と、グループで向き合った者とでは大きな違いがあると言うことです。試合開始の笛の音と共に、個人的な問題は忘れて共通の目的に向かってゲームをする。
結局、リハビリの真の意味は、これなんですよ。」

(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事:Corriere della Sera 2010年6月21日

実は昨夜のツィッターで、当記事の掲載は7月9日以内(日本時間)に必ず!なんて豪語したんですが、管理人もすっかりイタリア化してしまったのか(んん、ちょっと卑怯な言い訳だな)…
とにかく、遅れてしまいましたこと、お詫びいたします。

確か…去年ぐらいに、
うつ病で自殺してしまったドイツのGKがいましたよね…
プロとしての厳しい環境だと、セラピー効果はないものなんでしょうか
管理人にとっては効果絶大セラピーの1クリックPrego

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2 Responses to うつ病はサッカーで治す

  1. chiharu 2010年7月12日 at 3:51 AM #

    お久しぶりです、chirico さん。
    前回と今回の記事を読んで、昔観たニコラ・フィリベール監督の映画『すべての些細な事柄』を思い出しました。いや、全体の醸し出す雰囲気は全然ちがうんですけど・・・(笑)。
    今は、やっぱりこれだけ情報が瞬時にグローバル化されている時代なので、向上心のある人はありとあらゆる挑戦ができると思うんですよね。でも、それを試す受皿(社会)が違うと結果は全く違うものになるんだなぁと。面白かったです。
    やっぱり最後は、こういう草の根の運動や試みにマフィアが絡んでこないことを祈りますね。ほんとに。それで向上心を削がれない人なんていないと思います。
    いやいや、また脱線してしまいました。笑

  2. chirico 2010年7月13日 at 7:44 AM #

    おぉ、chiharuさん、お久しぶりです〜。

    その映画のことは知りませんでした。
    調べたら、仏映画のようですねぇ。メモしとかなきゃ。

    どこの国もそうなのかもしれませんが、イタリアも本当にこう言う、個人レベル・小規模グループレベルでやる草の根運動的なものでは、「なかなか良いんじゃん!」って言うものが出てきますよねぇ。
    やっぱり、個人主義の国ならでは…なのか。

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