マフィア作家が殺された:ロベルト・サヴィアーノ

2006年、カモッラ(ナポリマフィア)の内幕を暴き、イタリアで一躍ベストセラーとなった『死都ゴモラ』。
しかし、それ以来、著者ロベルト・サヴィアーノはカモッラから命を狙われ、新作映画さえ一館貸し切りにしてもらえなければ観に行けない状況となっております。
そんなサヴィアーノ氏を煙たく思う輩も多く、最近、表立って攻撃してくる人が増えてきたな〜と。
今回は、サヴィアーノ擁護派による企画のようなんですが。

ミラノ 『サヴィアーノ死体、合成写真』

アンドレア・マンテーニャ作の『死せるキリスト』のようでもあり、ルノーのトランクに横たわっていたアルド・モーロ元首相の遺体のようでもあり…。
25日発売の月刊誌『Max』には無惨な遺体写真の数々が掲載されており、その中にはローマ郊外オスティアの海岸で発見されたピエル・パオロ・パゾリーニのものも含まれている。
そして、ここに登場するは殺された作家の死体…霊安室に横たわるロベルト・サヴィアーノなのだ。
緑色の布の上、頭を支えられ、足の指には『CSI:科学捜査班』風の身元確認証がくくりつけられている。

もちろん合成写真、いわゆるフォトショップ加工によるもので、その道のスペシャリストであるジャン・パオロ・トマージ氏の作品だ。
胃の腑にガツンとくる写真であり、議論の的になること間違いなしである。
いく分、誤解を生みそうなのは、タイトルが『サヴィアーノが殺された』となっていることで、短い説明が添えられてはいる。
同誌では、この《拷問にかけられ殺されたサヴィアーノ》の記事のために2ページを割く等して力を入れている。

「挑戦的。強烈な印象を残す写真。」とコメントしているのは『Max』誌を出版しているRCS雑誌部。
今冬、歌手のモーガン氏にインタビューし、過去のドラッグ常用についてのカミングアウトを掲載したため同氏のサンレモ音楽祭出場がキャンセルとなった話は有名だ。
『Max』誌のアンドレア・ロッシ編集長が、今回の加工写真について次のように話している。
「うちとしては、サヴィアーノ氏が攻撃されるのを、これ以上耳にしないようにってことなんですけど。一線を越えたのはマルコ・ボッリエッロ選手の発言ですよね。あの段階で“もう、いい加減にしろよ”って、うちでは言ってましたが。」

セリエAミランのFWであるボッリエッロ選手が、『Max』誌のライバル誌である『GQ』6月号で、次のようにコメントしていたのは記憶に新しい。
「ロベルト・サヴィアーノは私の故郷ナポリを喰いものにしている。カモッラが何者かなんて本を書く必要なんてないんだ。ひどい話ばかり書き立てて、あとの事はなおざりにして。」
そして、その数日後には、一部発言の内容を和らげていたのだが。

アンドレア・ロッシ編集長は次のようにも話している。
「そう、ボッリエッロ選手ね。ここ最近、この手の批判が続いてますよね。ニュースキャスターのエミリオ・フェーデに、ベルルスコーニ首相、その出版社までね。まぁ、とにかく問題はカモッラ(ナポリマフィア)なのか、それとも、それと戦うサヴィアーノ氏なのか…ですよね。
これは例えば、評判を落としてやろうって魂胆なんじゃないですか。訴えている事の価値をおとしめて、孤立させ、そのうち、抹殺してやろうって奴が現れて…。」

しかし、今回の加工写真について、サヴィアーノ氏には連絡してあるのですか?
「直接はしてません。この写真については、相談なしに進めてきたんですよ。もちろん、エージェントのデニス・サンタキアラ氏とか、『Repubblica』紙とかを通じて知ることになるでしょう。よく、そこに署名記事を出してるんですから。今のところ何の連絡もありませんけど。どう思われているのか、全然わかりませんね。」

わかるまでに、そう時間はかからないだろう。
とにかく、死の恐怖にさらされて生きてゆくことを身につけたサヴィアーノ氏が、それほど迷信深くないことを祈るばかりである。

将来、実際になりかねない、この恐ろしげな写真表現において、足りないのは実行しそうな犯人達の名前か。
ロッシ編集長は言う。
「みんな、想像はできるでしょ。」

(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事:La Stampa 2010年6月23日

記事内にもありましたが、サヴィアーノ氏が良く寄稿記事を出していると言う『Repubblica』紙なんですが…
今回の加工写真については、あまり快く思っていないようでして。
「こんなものは何の役にも立たない」と、早速、批判記事を出しておりました。

[追記:2010年6月24日]
ロベルト・サヴィアーノ本人から、この合成写真についてのコメントが出ていましたので、取り急ぎ訳してみました。

「悪趣味だ。自分のように、国内外で護衛付きの生活を送らなければならない人間のことを悪用している。様々な理由で生命が危険に晒されている者(多くは陰で息をひそめて)に対し、無礼な写真である。死に対しプレッシャーをかけられたことで、私も家族も嫌悪感を抱いている。とにかく、これだけは宣言しておくが、私は死ぬつもりは全くない。」

イタリアでは、マフィアに命を狙われている検事
なんかもけっこういて、20年ぐらい前からずっと
護衛付きの生活をしてる…なんて話を時々、聞きます。
のんびり散歩ぐらいさせてあげたい…祈願クリックPrego

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4 Responses to マフィア作家が殺された:ロベルト・サヴィアーノ

  1. Sanzone 2010年6月24日 at 6:54 PM #

    ご無沙汰してます。

    この写真を見た時、ゾッとしました。
    当の本人(サヴィアーノ)も、やっぱり
    不快でしょうねぇ・・・
    想像できるだけに・・・

    だいたいナポリ人で批判している人って
    なんなんでしょうか??
    「オレのナポリを批判しやがって」みたいな事を言う人たちって、カモッラにPizzoを
    搾り取られて街中がゴミだらけになってても
    「ナポリ最高〜♪ サヴィアーノは一体
    なんのために あんな本を出したんだ?」なんて
    本気で思ってるんでしょうかね?

    サヴィアーノ批判している人たちって
    結局「南」出身者が多いと思うんですが
    (ベルルスコーニなんかは『権力』と『金』が
    絡んでいるから、別として)
    彼らは「このままじゃいけない」と思う反面、
    「サヴィアーノみたいに暴露しなくても
    良かったんじゃない?」みたいに思ってるのかな〜・・・あの人たちのメンタリティーが
    よく分かりません。

    命を狙われ続けている検事、警察、そして
    サヴィアーノみたいな作家、ジャーナリスト、
    そしてすでに命を落とした検事、
    それと罪のない一般市民。
    今までに約1000人ぐらい(実際の数字はどうか知りませんが)カモッラの犠牲になってるナポリで(しかも未解決殺人が多過ぎる!)
    これから「どうするべきか」を
    議論するのが普通だと思うんですが、相変わらず「臭いものにはフタをしろ」的発想が
    横行している感じがします。

    ある人が「パゾリーニは『石油』を出版できなかったから殺された、サヴィアーノは『Gomorra』を出版したから殺されずに済んだ」なんて言ってましたが、もしかしたら
    言い得て妙なりなのかも。

    先日の新聞でボルセッリーノの息子が
    「人生を変える」ためにトリノ(だったかな)に出て来たらしいですが、「北では誰も
    僕の名前を聞いても『知らない』と言う。そして誰もマフィアについて話さない」という事に
    ビックリしたそうです。つまりシチリアでは
    日常になってる事、そしてボルセッリーノという名字が常につきまとっていたという事が
    彼にとって耐えられなかったんでしょうね。

    イタリアの北と南では、こんなにも違うのか!と再認識した私です・・・

  2. chirico 2010年6月25日 at 3:31 AM #

    おぉぉぉ、Sanzone さん、お久しぶりです。
    お元気でしたか?

    そしてまた、力の入ったコメント、ありがとうございます〜。

    マフィア問題って、ここ数年、イタリア紙をちょっと真剣に読むようになった私なんかでさえ、読めば読むほど根が深すぎて、そうそう解決なんてできないんだろうな…って感想しか湧いてこないんですよ。
    表面的にはアンチ・マフィアを装っていても、実はけっこう恩恵を受けていて、いなくなったら困る人っているんだろうな〜と。

    最近、イタリア人の知人が言ってたことで印象に残ったのは、カモッラやンドランゲタは単純な犯罪組織にすぎないけれど、コーザノストラの方は、例えばフリーメイソンなんかを彷彿させるような、力と権力を持って一般人も含め集団をきちんと統治できるような特殊組織だったんだって話ですかねぇ。
    だから、それなりに人望やら信頼なんかもあるんだと。
    (『ゴッドファーザー』のドン・コルレオーネのイメージとかなんでしょうね。)

    最近は、なんか北の方にも侵出しているニュースをちらほらと見かけますが、さすがに話題になるほどではないんですねぇ。

  3. TOLOS 2010年6月25日 at 7:01 AM #

    先ほど、日本がワールドカップ決勝進出を決めました。
    起きたのが試合終了5分前。
    喜びの瞬間、そして繰り返し放映されるハイライトシーンと監督、選手のインタビュー。
    すっかり試合を全部観戦したような錯覚に陥っています。
    あ、マフィアですね。
    日本のぬるま湯のような環境では山口組の内部を描いた作家でも護衛無しで生きています。
    ナポリは毎年200人近くが拳銃で殺されてますよね。
    聞いた時は驚きましたがイタリア人にとっては当たり前のことのようで「え、知らなかったの?ナポリ行く時は気をつけてね」ってな反応でした。

  4. chirico 2010年6月26日 at 5:28 AM #

    日本ではスゴく盛り上がってたみたいですねぇ、TOLOSさん。
    昨日は岡ちゃんへの謝罪ツィートが満載だったとか。
    それに引きかえ、イタリアはお葬式みたいになってますが…

    そう、それで、マフィアですね。
    もし日本に住んでいたら、もっと不思議だったと思うんですよ。21世紀の先進国で、いまだに白昼のマフィア暗殺劇なんかが普通に起きてるんですから…
    でもイタリアに住んでると、ホントに慣れちゃって、ニュースを聞いても「あ〜、またかい」ってなってくるんですよね…

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