性のはざまで:ニューハーフ6人が語る

去年の暮れ頃から、イタリアで流行り始めた言葉と言えば…『トランス』。
『トランスジェンダー』の略語だと思うんですが、日本語では『性別移行者』『性別越境者』なる訳語が試行錯誤されてるようで、いわゆる『性同一障害』の方々が自称するのに使っている単語だそうでして。
イタリアで言うところの『トランス』は、日本風にすると『ニューハーフ』って言うのが、一番しっくりくるかな〜と思います。
…で、イタリアで、その『トランス』がどうして有名になったかと言えば、TV司会者から転身したラッティオ州知事が、『トランス』と密会してるところを警察に握られ恐喝されていた…と言う一大スキャンダル事件が起きたからなんです。
さてさて、その事件とは関係ないんですが、イタリアで普通(?)に生活する『トランス』6名が、それぞれの人生について語っております。

イタリア 『二つの性のはざま、絶え間なく揺れ続ける6つの人生』

ラウラ
「ここに来てくれたら、いつだって居るわよ。20年も前からね。暑かろうが寒かろうが仕事に来てるの、夜10時から明け方までね。お客のセックスの好みなら全部知ってるわ。ミラノのキオスクで働いてるのよ。ブエノスアイレス通りにあるやつ。
夜はポルノのDVDが売れるんだけど、お客の顔を見ただけで、どんなのが好みか分かるわよ。南アフリカの男ならニューハーフ系かゲイ物を好むし、イタリア人なら熟女・年増系のDVDね。アラブ人は女優が陵辱されてる鬼畜系とか獣姦系なんかを探しに来るし、中国人が買うのは良く出回ってるやつ。欧米美女の古典的なシチュエーションで、ピンヒールはいて、高級ランジェリーを身につけてるようなの。セックスのことを考える時でも野心的なのね。
何年か前から、カップルも来るようになって、別のカップルの素人フィルムを買っていくわよ。で、女の人も買いに来るわね。ゲイ物が好きだわね。多分、自分以外の女なんて見たくないからじゃないの。男だけで良いのよ。そう言う意味では、レズ物を買ってゆくのって、ゲイじゃない普通の男ね。
みんな、アタシのことは知ってるわよ。どうやって生きてきたかも。誰も気になんてしちゃいないわよ。人生って単純なもんでしょ。娼婦やってりゃ娼婦として扱われるし、新聞記者やってりゃ新聞記者として扱われる。私は、これよ。せいぜい、時々、「カマ野郎」って叫ばれることがあるぐらいかしらね。ほら、ニュースが…。それ以外じゃ、アタシの場合はトラン・トラン・トランクィーロよ(訳者注:【トランスジェンダー:性同一障害 or ニューハーフ】と【トランクィーロ:平穏な・落ち着いたを意味する形容詞】をかけたダジャレ)。
今まで付き合ったのは3人だけ。みんな、長い付き合いだったし、大切よ。
甥っ子や姪っ子達にとっては、アタシはラウラ叔母さん。兄弟のためには自分を犠牲にしてもかまわないし、兄弟も私にそうしてくれるでしょうよ。
たったひとつ後悔してるのは整形手術のことね。お医者たちにズタズタにされて、あっちこっちにシリコン入れられちゃったわ。後で、どんなことになっちゃうか教えてもくれなかったのよ。請求書寄越すことにしか興味ないって感じ。今は、なんとか元通りにしようと思ってるんだけど、何年もかかるし、度胸も大金もいるわね。」

オビ
「言いたいことなんか、何にもないわ。
私たち性同一障害者は差別されていて、何か起きる度に良いように攻撃されるんです。普通の人にしてみたら、私たちは全員、売春婦なんですよ。私は普通に生活しています。デザイナーとしてファッション業界で働いてね。
それだけなのに、多くの人達にとっては、それで充分なんですよね。」

グレタ
「自分が置かれている状況について、ずいぶんと考えたんですよ。もっとも一般的な言い方をするなら、『トランジション(性転向化)』でしょうね。そうだとも言えるし、誰も、決して終わりのない運命のトランジションなんだって言わないだけなのか。
手術することだってできるでしょうけど、本当の女性になることは絶対にない。同じように、男性らしい服装や行動を取ることもできるけど、でも私が、それで本当の男性になることもないでしょう。
私は性同一障害なんです。選んだわけじゃなく、ひとつの事実なんです。この事を理解しづらいって人がたくさんいて、私達にとっては人生がややこやしくなっちゃうわけなんですよ。どんな人間関係でも、自分が何者なのかを説明しなければならない瞬間が必ずあるんですもの。ずいぶん前に、ネットに広告を出したこともあるんです。あらゆることが即座にはっきりさせられて、ありのままの自分を求めてもらえる解放感がありましたね。
数年前、自動車事故でひどいことになっちゃって、しばらく入院していたことがあるんです。その時、私の本を書けないかなぁと思い立って。確か、『風と共に去りぬ』の作者にも、そんなことがあったんじゃないかな。私のも上手くゆくと良いんですけど。自伝本を書く気はないんですけど、真実についてとか、私の視線での考えとか書けないかなぁって思って。男性としての視線でも、女性としての視線でもない…ね。」

ルクレッツィア
「刑事専門の弁護士をしています。収入は良いし、顧客も喜んでくれてますよ。顧客から、いつ、どうして性別を変えたのかと不思議がられたことはありません。単純に優秀な女性弁護士を必要としてくれているだけで。
懸命に勉強していた時も、実習期間中も、法廷に赴いた時も、妨害を受けたりしたことはありません。
性同一障害の多くの方々は差別されていると言ってますけど、上手くいかなかったことに対する言い訳ですよね。私は言い逃れはしたくありません。つまり、私に言える最大限のことは、誰にとっても感じの良い人間になんかなれないし、自分の道を真っすぐ前に向かって進んで行こうって思ってるってことですね。
親友は中学時代の男子同級生です。両親には常に支えてもらいました。私が必要な決断を下さなければならない時は、いつもすぐに理解してくれました。
現在、私は女です。あらゆる面でそうですし、戸籍でもそうです。
結婚しているし、夫と2人で養子を迎えることも考えました。そう出来たし、そうしたかったんですけどね。ただ、私の仕事は一日中拘束されてるものですから、諦めました。」

ジゼル
「ベネズエラのカルパノ市出身です。子供の頃は、よく母親の透け透けのガウンを羽織っていたわ。女の子から、少女になって、そして女性になったの。男だったことは一度もないわ。手術は受けてないけど、そんなこと全然関係ないし。
16歳の時、カーニバルでダンサーとして注目されたて、カラカスに移ったんです。それから、男の人と一緒にドイツに行って、果てはミラノにまで来ちゃった。
何してるかって?秘書って書いておいてよ。
今は、男の人と同棲してるんです。って言うか、男になった女の人ね。もう、ジョークみたいよね。2人で散歩してると、みんな振り返りるわよ。1人で外出してもジロジロ見られるけど、注目を浴びるのって死ぬほど好き。男の人達からは綺麗だねって言われるけど、同棲相手の元に帰る方が良いわ。アタシのことを本当に大切にしてくれる、たった一人の人間よ。どうして、そんなことが分かるかって?助けて欲しい時にそうしてくれるただ一人の人間だからよ。
彼と…って言うか、彼女とはセックスはしないの。したことないし。その方がずっと良いのよ。だって、アタシ達ニューハーフにとってセックスって、ほとんど災いみたいなもんだから。そのためだけに人が寄って来るでしょ。夜になると群がらって来るわよ。昼間は、気づかれもしないのにね。」

ヴィルジニア
「ヴィルジニアです。たまたま、この名前にしたわけじゃないんです。わたし、ヴァージンなんですよ。ずっと待ち続けて来たんだし、今は初体験は絶対に完璧なものじゃなくっちゃって思ってるんです。愛してる男性とで、その人も私のことを愛してくれていて。
新聞社で働いてます。ローカルニュースの記事を書いてるんです。以前は夜な夜なディスコに通っていて、そこで親友と出会ったんですよ。彼女が私の背中を押してくれたんです。いつだって自分は女だって感じていたし、そうなりたいっていつも思っていた。必要な手術を全部するって大変なことなんです。恐いし、しっかり自分で納得する必要もあるし。
私、分かったんですけど、差別されるって言うのは、自分が何者なのか理解されていない時なんですよ。本能的なことですよね。男なのか女なのか分かってもらえなかった頃は、問題ありましたよ。いわゆる『普通の人達』を不安にさせるんでしょうね。今は、誰から見ても私は女ですし、そう見えるような服装にもしてますから。これがね、大切なことなんですよ。」

(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事:Corriere della Sera 2010年5月11日

以上6人のニューハーフの皆さんの写真、もっと大きくご覧になりたい方は、
こちらからどうぞ。

イタリアには『トランス』の下院議員もいるんですよ…
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