イタリア若者、親の七光り事情【後編】

昨日の、『イタリア若者、親の七光り事情【前編】』の続きなんですが、
まずは、お詫びから。
【前編】の方でもキーワード的に何度もくり返される単語があるんですが、
すみません、わたし、誤訳してました。それは、

mobilità sociale (モビリター・ソチアーレ)

正しい意味は『社会的移動(社会的地位が変化することを指す)』となります。

で、恥ずかしながら、わたしの誤訳は『社会的な柔軟性』。
なんだか自分で読み返してもピンと来なかったんですよねぇ…。
あっ、あの、【前編】の方も修正しておきましたんで、もし良かったら、そちらももう一度、どうぞ。全体的に、いく分読みやすくなったと思うんですが。

 

 

 

イタリア 『親の七光りの国イタリア、収入は世襲制』

不動性と不平等と言う2つの要素と、それらによる影響が経済界で焼け付いている。加えて、『Ocse(経済協力開発機構)』が危惧しているのは、リソースの無駄が数字に表れていると言うことだ。
大卒者の子供が、やはり大学を卒業する可能性が極めて高い…つまり、高所得を得るようになると言うのならば、現在、イタリアの学校で優秀な成績を修めていることは全く意味をなさないわけである。
『Ocse(経済協力開発機構)』が提示しているランキングによればイタリアは、学校での成績や国際的な試験の結果(ここでは学生の科学力テスト)が家庭環境によってあまり左右されない国のひとつとなっている。(例えば、アメリカやフランス、ドイツ、イギリスは反対の結果が出ている)
つまり、エンジニアの息子が工員の息子に比べ、数学の成績が良いと言うわけではないのだ。
この点において、イタリアよりも家庭環境の影響を受けない国と言えば、カナダと北欧数カ国にすぎない。
おそらく、国公立の学校システムがいまだ基本的に均質であり、社会的に差別なく融合しているおかげで、このような結果が生まれているのだろう。同システムでは、優秀校と普通校と言った溝が生じることもなく、エンジニアの息子も工員の息子も一緒に机を並べられている。
また、もっと良いことに、『Ocse(経済協力開発機構)』によれば、学校内で学生の社会的バックグラウンドが多様化するほど、経済的に豊かとは言えない学生らの成績が向上すると言う結果が出ており、全体的な結果にもネガティブな影響は現れていない。

『Ocse(経済協力開発機構)』では、家庭のバックグラウンドによる影響を受け、個々の学生の成績が上がると言った学校システムの効果を強く述べている。
この点で見るならば、現在、イタリアの学校システム改革に挙げられている提案は、『Ocse(経済協力開発機構)』が主張している内容に逆行することとなる。
例えば、『Ocse(経済協力開発機構)』では、希望進路別に学生を早期の段階で仕分けするようなシステムを取れば、通常は家庭環境からの影響を大いに受け、学校の成績に転換されると強調し、同様に選択コースが増えると、学校の成績に対し家柄のバックグランドが重要になってくると記している。

イタリアのパラドックスは、とりあえず家庭云々はさておいて、万人に学校教育の機会を保証しようと憂慮することが、最終的には無駄に思えてくると言うことだ。
学校生活での成功と、人生での…つまり、仕事、所得における成功が、全く関係ない戦いの結末のように見えてしまう。子供の未来が、すでに父親の収入によって決まっていると言うだけでなく、本人が勉学に精を出しても大した意味をなさないと言うことなのだ。
例えば、イタリア経済学者らによれば、この国でキャリアを向上させるための主なポイントは、教養や能力レベルよりも年齢や経験に依っているとのことである。
そして不動性の連鎖について言えば、『Ocse(経済協力開発機構)』の研究が提示してるよりも、おそらくもっと長いのだ。こうなると父親の所得だけではなく、祖父の所得まで関係してくるわけである。
実際のところ、もし己の将来が即、その家代々の所得額で勝負が決まると言うのであれば、どこかの代で父親が金持ちになって、その後の子々孫々へ期待を与えられるようになる可能性はないのか?
答えは、『全くもって、ほとんどない』だ。
イタリアでは、親子間での社会的地位(もしくは職業)の差が少なく、また、本人が学校卒業後に初めて就いた職と現職との差もまた少ないからだ。
もっと分かりやすく言うならば、子供の所得は父親の所得をくり返す傾向にあり、なぜなら統計的には、何者が家柄を意味ありげに修正し、より裕福に(もしくは、より貧しく)なると言うことは、まったくもって稀なことだからである。
『Ocse(経済協力開発機構)』が上記のように言うのなら、イタリア中央銀行ではこんな風に言っている。
2000〜2008年までに、富裕層に属する100家族のうち経済的に困窮するようになったのは1家族以下であり、貧困層の50家族のうち豊かになったのは1家族のみであった。
貧困家族の80%以上がそのままの生活を続けて、約90%の富裕家族がそれなりに快適な生活…つまりは裕福な生活を続けていると言うわけである。
[ 完 ]

日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事:La Repubblica 2010年3月3日付

 

 

以前、イタリアのTV番組でやってたんですが、弁護士でも医者でも、結局、顧客や患者をそのまま親から引き継げる地盤がないと難しい…とか何とか。
確かに私の周囲のイタリア人でも、『二代目』って多いような気がしますねぇ。

 

 

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4 Responses to イタリア若者、親の七光り事情【後編】

  1. MIS 2010年3月11日 at 10:25 AM #

    Ciao! Sto bene. Grazie!

    ひええ~友人の何気ない一言の意味が、この記事で全て分かってしまったのですが、良かったのか悪かったのか(苦笑)
    お疲れ様です。誤訳は気にしないで下さい。

    でも逆にいえば親よりもより貧しくなることがないという事ですよね!? 余程の事がない限り。
    それって日本より安心かもしれない・・と思いましたよ。このご時世ですから、日本の子供達がサラリーマン父親を越えようなど、起業・開業で成功しない限り無理ですからね。というか、貧しくなっている今……厳しいですね。トヨタの新規採用ゼロですから(苦笑)

    ある意味、アメリカより日本企業の方が資本主義まっしぐらな感じがしますけど、イタリアから見て日本企業の事どう思います?

    うむむ、友人の言葉に重みが増してきました(^^;)

  2. chirico 2010年3月12日 at 8:18 PM #

    むちゃくちゃ気になるんですが、MISさん、その『友人の何気ない一言』って。

    イタリアから見ると、日本の企業って業績が悪くなると、あっさり人員削減する…って風には見えますねぇ。
    それから以前、近所の図書館で日本人の経済学者さんの講演を聞いたことがあるんですが、
    「日本では一度会社を倒産させてしまった者に、もう銀行は金を貸さない…だから、日本で起死回生はほとんどない。」と言ってたのを記憶してます。

    イタリアはイタリアで、やっぱり物理的にも心理的にも、どこかブロックされてるような印象がありますしねぇ…。

    どこかに、「ここは良いぞ〜」って国、ないでしょうかね。

  3. フランス 2010年3月18日 at 7:58 PM #

    たまたま検索でひっかかり遊びにきました。

    わたしはフランスに住んでいるのですが、やはりここにも階級は残っています。色んな所で見えない壁を感じるんですよね。

    頑張れば何だって出来るなんて教育を受けていないためか、日本やアメリカのように人生何かに挑戦し貧乏から成金になる人も少ないですし、そもそもそのチャンスが少ない…。実践してどんどん財を成しているのは中国人くらいです。

    日本の教育を受けたわたしはこのチャンスの少なさにイライラしますが、他人(他の階級)を羨ましがらず日々を楽しく生きる事はとても上手な人たちなので、ある意味幸せなのかなとも思います。

    面白かったのでまた遊びにきます!

  4. chirico 2010年3月20日 at 12:04 AM #

    フランス様、コメントを有難うございます。

    実は、なぜかスパムの方に紛れ込んでしまっていて…
    今、気がついたもんですから、コメント返しが遅くなってスミマセン。

    「頑張ったって無駄だから、他人をうらやましがらずに日々を楽しく生きる…」って言う描写に、えらく納得してしまいました。
    極端に言えばイタリアも、
    「才能に恵まれ、頑張ればどうにかなるかもしれない」世界と言えば、
    男子にとってはサッカー業界、女子にとっては芸能界だけ…と言う雰囲気があります。
    (あぁ、マフィアなんかの裏社会もですかねぇ)

    以前、知り合いのイタリア人から、
    「ヨーロッパの中で、イタリア人が一番ライバル意識を抱いているのはフランス人だ!」と言うのを聞いたことがあるんですよ。
    ですから、イタリアvsフランスの対比には、けっこう興味を持っています。

    また、どんどん遊びに来てください。

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