高級男娼、顧客は妻帯者がほとんど【後編】

昨日の『高級男娼、顧客は妻帯者がほとんど【前編】』の続きです。

 

 

ミラノ 『高級男娼が語る、上客は貴女方のご主人です』

職業としての性、官能の排除が声高に叫ばれる
『prostituta(売春婦)』、昔ならば『puttana(売女)』と言う語は、かつては女性に限られていたのだろうし、これらの複数形はイタリア語において女性形でしか存在しない。そしてかつて、このような女性達を形容するための侮蔑的な単語は山ほど作られたのだ。
現代において性産業に従事する者達は、ある業界(TVや広告)の明白な局面とされるカテゴリーに属している。
その業界は知識や文化について触れないよう、肉体に対価を与えると言う斬新さを、金銭や成功にまつわる夢物語を、仕事への価値感を低下させることを軸としているのだ。
大学教授が貧乏ならば、勉強なんぞ何の役に立つのだろう?
トーマスさんも言っているが、結局はインターネットの普及ですべてが簡単になった。
「広告を出して、自分の写真や、専用サイトで使っているハンドルネームとかを載せるんですよ。それから、ここ1〜2週間は自分がどの町にいるのかもね。フィレンツェとか、ボローニャとか。そうしたら、一緒に過ごしたいなって思ってくれた人は、連絡をくれるなり、家に訪ねて来たりしますから。
お客を取る部屋は、だいたいサイトの管理人や友達なんかが貸してくれるか、どこかの住所が伝言で届くかですね。男性の場合は(収入が少ないので)1週間で150ユーロ(約2万円)ぐらい、若い女性だと300ユーロ(約4万円)かな。仲介の類いなんかはいないし、経費も妥当な額ですよ。報酬1回分よりも少額で元が取れますから。」
ここで、ちょうどボローニャの町で2週間滞在してきたばかりのワグナーさんが補足する。
「でも、移動して歩かないとね。しょっちゅう町を変えて。お客は新顔が好きだし、今まで経験したことがないようなことをしたがる。新しいものを求める嗜好があるんですよ。」
客にはどんなタイプがいるのかと訊けば、トマースさんは、
「あらゆるタイプがいますよ。自分がゲイなんだって認める勇気がない18歳の男の子から、70代の紳士まで。自分のことを異性愛者だって言っている多くの男性達、彼女なり妻なり子供のいる人達ですよね。」と。
それでは、なぜ、彼らは貴方達の所を訪れるのか?
「多くの男性は潜在的にホモセクシャルなんです。それにモラルや宗教、体裁の問題もありますよね。家族のせいで本来の自分でいられない人って言うのも多いですよ。」と、ワグナーさんは言う。
こうしてワグナーさんは、イタリアでは現在、ゲイを吊るし上げんばかりの輩(やから)が多くいるが、しかし、ゲイ達が1時間ばかりのお楽しみのために相手を探す時、それもまた夥しくいると言うことを確信しているのだ。
そして私達は、客側にとって男娼の美醜が、それほど根本的なことではないと言う点にも気づくこととなる。

インターネットで公開されている写真は本人のものとは限らないと言う周知の事実を無視しても、例えば働く側のトーマスさんにとっても、
「お客が醜男かどうかは重要じゃないです。実を言えば、若い男性よりも、むしろ太った老人の方がいいんですよ。老人から金を受け取る方が適当な気がして。」と言う。
「カップルがお客として来ることもありますよ。」と、ワグナーさん。
「女性お断りなんです。だって、僕らゲイですからね。でも、そう言うリクエストが増えているのは確かですよ。お金を払って女性とセックスしたい男性用の市場って言うのは多いでしょうね。」
特に職業の自由を主張するワグナーさんは、
「実際の経験から言うなら、僕が知っている女性達、性産業で働く女性達はみんな、自覚を持って自分の仕事をしているってことですね。キューバ人、ブラジル人、イタリア人、みんなね。」と言い足す。
トーマスさんはワグナーさんほど明快ではなく、いまだに女性に対する搾取や強制の話はあるとし、
「外国人女性や、特に人気のあるトランス(ニューハーフ)の間でね。」と。
トーマスさんとワグナーさんは、ゲイ専門のディスコのショーにも出演している。
「勃起した状態で狭い舞台に上がってね、たくさんの観客を前にしてショーをするのは単純なことじゃないですよ。ショーの時はペニスに直接注射を打つんですよ。何時間も本当に勃起していられる薬が色々ありますから。一種の局部的なバイアグラですね。」

この仕事に関し彼らが考える唯一の問題点は、長くは続けられない、ある年齢までしかできないと言うことだ。
「それで僕らは貯金して、サウナを開業したんです。10ヶ月の間、そっちの仕事だけに専念して、売春はしませんでした。そうしたら経済的に大変なことになってしまって。それで借金を返すのに、またお客を取り始めたんです。」と、トーマスさんは話す。
将来の見通しはつかず、ワグナーさんは彼らにも『年金が必要』と言う。年を取って体の自由がきかなくなっても、何の保証もない。お直しやらスポーツジム通いやらで『ボディー』にいくらメンテナンスを施してもだ。
最後にワグナーさんは口を閉ざしてしばらく考え、実は祖国ブラジルに9歳になる息子がいて、むこうでは16歳の時に結婚をしたことも明かしてくれた。
「子供が子供を抱えていたんですよ。だけど女性に興味が持てなくて、それでヨーロッパに来たんです。」
ここイタリアでは、息子のためにも働いているのだ。他に何もないから体を売る。
「体は自分のものですから。」
(2009年10月20日 Corriere della Sera)

 

 

以前、スペインやイタリアの男性に「あ〜、ハンサムだなぁ」と思っても迂闊に恋してはいけない、同性愛者の可能性が高いから…とかなんとか、聞いたことがありましたが。
本当なんでしょうかね。

 

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