チャイニーズ労働力の侵攻、イタリア中小企業が消えてゆく

私が住んでいるイタリア中部の10万人都市にも、中国人がたくさん住んでいます。
以前は、海岸通りの散歩コースとか、夏場のビーチなど、イタリア人でにぎわうスポットではあまり見かけなかったのですが、最近、人ごみに混じって寛いでいる中国人らしきカップルの姿をちょこちょこ見ます。
これはこれで良き事なりと思いつつ、何かが変わってきたんだな〜と感じていました。
変化ってのは、良い方向にのみ現れるわけにはいかないもんですかね。

 

 

フォーリー 『ソファー業界に中国人が侵出 “ここもプラート県と同じ”』

イタリア中部プラート県では、倉庫の外壁に赤い布がつるされることがある。それは、『イタリア人はすべて退去した、現在、ここにいるのは中国人だ』と知らしめるためのもの。
イタリア中西部フォーリーの町に見られないのは、この赤い布ぐらいだろう。
エミリア・ロマーニャ方面でソファーを取扱う経営者、職人と言えば、かつては豊かに栄えていたものだが、もうずいぶん前から『プラート県の亡霊』に取り憑かれてしまった。
この『亡霊』を間近に感じてきた女性経営者が、国営放送Rai3による昨夜の報道番組『レポート』のTVカメラに向かって、
「このままでは、ここもプラートの町のようになりますよ。」とぶちまけている。

女性経営者マヌエラ・アマドーリさんは別の女性同業者とともに、今や戦いのシンボルとなっているのだ。
非合法システムや、これらが黙認されることで県全体が打ちのめされている現状に対する戦いは、すでに地元紙からは『多国籍ソファー事件』もしくは『正当ソファー事件』などと名付けられている。
フォーリー周辺に広がるソファー製造地帯は国内でも重要視されているのだが、今回のアメリカ影響下の不況が上陸する前から危機にさらされているのだ。
しかも、その危機と言うのが市場や従業員絡みのものではない。ソファー市場の状態は保たれており、店頭販売員らは特に影響は受けていないのだから。
しかし、同番組で紹介された内容によれば、『Poltronesofà』や『Roche Bobois』など国内およびフランスの大手メーカーと組んで仕事をしていたイタリア中小企業が、職工らを自宅待機にして製造作業を停止していると言う。

なぜなら、イタリア人に代わってここにも中国人が侵出してきたから。
規則はあってないようなもの。労働者らはパートタイムで雇われているが、実際は奴隷ぎりぎりの状態で働いている。深く急速に侵出し、価格破壊により地元の中小企業を早々に市場から追い出してゆくのだ。
イタリア人の中には追い出されたままに留まらず、『請負人』として店頭販売員を『龍の目が光る企業』へと引き渡しに行く者もいる。

2006年度、フォーリー市における『布ばり家具』業界ではイタリア企業50社が閉鎖したのに対し、中国企業は135%増加している。
しかしながらプラート県と同様に、特に関心を引く現象とはされていない。
2006年度の地方労働基準監督署の監視員の数は12名、そして、この12名が不法行為314件、不正労働者110名、不法滞在者23名を暴き出したにもかかわらず、なんの警報も発せられなかったのだ。それどころか、同番組の調査では2007年度には監視員の数は5名に減らされたのである。

この間、つねに女性経営者マヌエラ・アマドーリとエレナ・チョッカの両名は、労働組合や労働基準監督署、経営者団体に揺さぶりをかけてきた。
しかし、カロジェーロ・ジェルマナー警察署長のもとへ請願が届き、アマドーリ氏ら両名が証人として召喚されないかぎりは、訴えが聞き入られることはないように見えた。
事態が進展したのは、こうした状況下でだった。
フォーリー検察のファビオ・ディ・ヴィツィオ検事代理により、安全規準違反から市場かく乱まで78件の違法行為が推定され、捜査が開始した。
同番組によれば捜査では少なくともイタリア企業3社(Polaris、Cosmosalotto、Tre Erre)が、国内外のソファー業界に向けて直接もしくは間接的に仕事をしていたとして名前が挙っている。
つい最近、同捜査は衝撃的な結果でもって終了している。
この『商業的および工業的なかく乱』は、犯罪として推定されたのである。司法官らは、同推定を裏付ける根拠として『事実上の会社』が存在していることを挙げた。
あるイタリア人経営者らが中国人企業に倉庫や機械を提供し、また、中国人企業からはイタリア人経営者らに低価格で製品が提供されていると言うのだ。
しかしながら審議が進められている間、フォーリーのソファー業界にはこれと言った変化は見られていない。
同番組によれば捜査の対象とされた中国人企業は社名を変えて、以前と同じイタリア人発注者のために仕事を続けているのだ。
(2009年10月19日 Corriere della Sera)

 

 

記事内に登場するTV番組『レポート』の同放送は、私もリアルタイムで見ていました。
職工として働いている中国人女性がインタビューで、当初は自分達の賃金が安いなんてことは知らなかったと。
それを知ってから上司に昇給を訴えたけど、なしのつぶてだったと言ってました。

 

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2 Responses to チャイニーズ労働力の侵攻、イタリア中小企業が消えてゆく

  1. f.panda 2009年10月22日 at 4:06 PM #

    はじめまして。
    毎朝Chiricoさんの記事をチェックしてから仕事に出ています。
    私も在伊かなりの年数になり、翻訳その他の仕事をして生活していますが、あくまでも収入あっての翻訳で、Chiricoさんのように精力的に正確な翻訳をブログで公開とは、心の底から尊敬しています!スバラシイ!

    さて本日の記事ですが、他人事ではありません。
    私の住む地域も、イタリア人は失業し、中国人の工場が乱立、居住区も中国人が押し寄せてきています。
    しかし、この問題が発生する10年ほどの間に、支払いを全て現金で済ませる中国人相手に、どれだけのイタリア人がいい思いをしてきたんでしょうかねぇ。。
    支払いは手形で、それをも滞らせるイタリア人を相手にするよりは、工場用地買取りにしても、高い値をふっかけても、現金即払いしてくれる中国人は、いい商売相手だったでしょうに。
    傍から見れば今になって大騒ぎ、という感はありますが、でもその場良ければ全て良し、後は問題山積み、みたいなまるでベルルスコーニ政権とそっくり。やはりイタリアですか。

    それでは、これからもブログ楽しみにしていますので、頑張ってください!

  2. chirico 2009年10月22日 at 5:27 PM #

    f.panda様、コメントとComplimenti、ありがとうございます。

    実はブログ開設当初、ちょくちょく誤解されてたんですよ。
    どっかからイタリア関連の記事ばかりをコピーしてきて、その前後にコメント付けてるだけなんだろうって。
    f.pandaさんの一言で、今までの苦労がやっと報われました(今夜は飲みます!)。

    即金払いですか〜、中国人は!
    それじゃあねぇ…。

    確かにわたしも、イタリア人相手に翻訳の仕事をしてた時、翻訳料を受け取るのにいつも半年がかりでした。
    ひどい時は、「前回、二重払いをしたみたいだったから今回は払わないでいたんだ」とか言い訳されて。

    わたしが住んでいる町では、イタリア人経営の小売店が少しずつなくなって、代わりに中国人経営の格安衣料品店になっていってますね。

    わたしは単純に『働きぶり』のことだけ言っても、中国人の方がイタリア人より良いんじゃないかって思っちゃうんですよ。
    いや、中国人と働いたことはないんですけど。
    スーパーのレジにいるイタリア人とか、喋らないで手だけ動かしてる人って極少なもんですから。

    愚痴ってる場合じゃないですね。

    これからも頑張りますんで、よろしくお願いします。

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