ベルルスコーニ独裁TVショー

今年の4月にイタリア中部のラクイラ市で起きた大地震を覚えているでしょうか。
実は今週15日、ついに初の仮設住宅がベルルスコーニ伊首相より被災者らに引渡されると言う記念式典があったのですが、このためイタリアTV業界が上へ下への大騒ぎになりました。
15日夜に国営放送Rai1チャンネルのトーク番組がスタジオに首相を招き、日中に行われた式典の模様を放映すると言うことだったのですが、視聴者の注目をこのベルルスコーニ首相の功績に集めるために、至れり尽くせりの暴挙が行われたのであります。
首相出演の番組の放送時間をゴールデンタイムに引き下げるは、裏で放送されるはずだった同系の2番組の放映日を変えさせるは…。
この独裁ワンマンショーは、もちろんベルルスコーニ首相の指図で仕組まれたのだろうと誰もが信じ、最大野党の民主党党首からは、
「チャウシェスク元大統領だって、ここまでする度胸はないだろう。」と言われるなか、番組は粛々と放送されたのでありました…。
 

 

ローマ 『伊首相:TV、新聞、政界の悪党共…Repubblica紙は私を攻撃するスーパー政党だ』

国営放送のRai2チャンネルはイタリアの刑事ドラマを放映し、同じく国営のRai3チャンネルは映画『ヒトラー 〜最期の12日間〜』を放映(政治討論番組『Ballarò』は放映日変更)。
一方、ベルルスコーニ首相の長男が率いる民放局のチャンネルCanale 5ではニュース番組『Matrix』の放映日が変更され、代わりにマフィアをテーマにした連続ドラマが流されていた。
こうして国営放送のRai1チャンネルは3時間余りの間、ベルルスコーニ首相に専有を強いられたわけである。いや、『強いられた』のはベルルスコーニ首相の方なのかもしれない。実はサッカー・セリエAチーム『Milan』の試合の方を見たかったとのことで、
「この番組をゴールデンタイムに移動させることには、まったくもって反対だったんだよ。『Milan』のオーナーとしてはチャンピオンリーグを是が非でも観戦していたかったんだが、こちらの番組の出演依頼を引き受けたんだ。」と話している。

番組が始まって最初の45分間は今年4月にラクイラ市で起きた地震と、仮設住宅の建設計画のが取り上げられた。
(首相談:“今年の12月までに震災避難者ら全員の頭上に屋根がかかることになるだろうし、そのため300億ユーロ(約4兆円)予算を充当することになるので追加の税金が付加されることはない”)
また、ベルルスコーニ首相は最近問題視されている報道の自由について口火を切り、
「TV、新聞、政界と、我々は悪党共に取り囲まれている。唯一の国営放送局であるRaiは、国民から受信料を取って政府の悪口を流しているのだ。」と。

そして攻撃の矛先は当『Repubblica』紙へと向けられ、
「スイスの出版社から支援を受けている新聞じゃないか。そこの出版社の社長は公然と脱税しているんだろ。」と言うと、司会を務めるヴェスパ氏(写真上の右側)が、
「『Repubblica』紙のマウロ社長は、そんなことはないと言っていましたよ。」と言葉をはさむものの、首相はなおも、
「君は非常にユーモアのある男だね。報道の自由を侵害することは犯罪だよ。『Repubblica』社を告訴したのは、私ができる最低限のことをしたまでだよ。」と食い下がった。

また、首相が率いるPdl(自由の国民党)で起きている内輪もめについては、
「私の方では、フィーニ氏との間に何ら問題はないが。」とし、
「二つの異なる概念があるのだ。政党と言うものは選挙の際に組織されるべきものと私は思うのだが、フィーニ氏や政治の玄人たち…ちなみに私は違うがね…にとっては、政党とは政府による決定について論議すべきところなのだよ。二つの異なる概念があるとは言え、フィーニ氏とは何ら問題はないよ。」と遠回しに触れてみることも忘れない。

しかし、Udc(キリスト教中道民主連合)に対しては、
「PPE(欧州人民党)に組しており、そして我々と手を結ぶと言うのは筋の通ったことと思われるが、一方で、エミリア・ロマーニャやトスカーナ、マルケ、ウンブリア地方では評議員の確保や権力の分け前にあずかるために左派のことを都合良く利用しているのだ。」と攻撃。
これを受けてUdc党首であるピエール・フェルディナンド・カジーニ氏(右写真の左側)から生放送中に電話が入り、カジーニ氏はUdcは旧政権に対しても現政権に対しても唯一の反対勢力であるとしながら、
「我々は国を上手く治められる者の方につきたいのですよ。ベルルスコーニ氏が我々は左派の支持者狙いをしていると言うのならば、つまり、地方においてPdl(自由の国民党)と我々は協定を結ぶことはないと言いたいのでしょう。」と話した。
これに対しベルルスコーニ首相は会話を続けようとはせずに、ただ、
「けっこうなことだね。」と言葉を返しただけだった。

その後、首相は再び自画自賛を始め、
「私の内閣や行政機関はデ・ガスペリ元首相(注:キリスト教民主主義の創設者。1945年から1953年にかけて計8つの連立政権において首相を務めた。首相としての8年という在任期間は現代のイタリアにおいて最長記録)の時より素晴らしい。」とし、
「デ・ガスペリ元首相は共和国の父と称されたが、私の内閣、行政機関が一番だよ。」と言いきった。
また、話題が反対勢力へと移ると、いつもの調子で『共産主義者』呼ばわりを始め、司会のヴェスパ氏が遠慮がちに、
「共産主義者と言うのはもういないのですよ。今はPd(民主党)と言う名前なんです。」と反論してみせるものの、首相は、
「今も将来も、いつだって老いぼれ共産主義者どもさ。ダレーマ氏は古参の共産主義者で、40年も前から共産党をつくるためにPd(民主党)にいるんだ。政府を批判する時の言い回しは生粋のスターリン主義者のそれだよ。世代交代が必要だね。」と主張した。

司会のヴェスパ氏が、首相みずからが世代交代を求めると言うのはいかに矛盾したことであるかを促すと、73才になるベルルスコーニ首相は憮然とした様子で、こう反論してみせた。
「一番若いのは私だよ。革新を起こすのは年齢じゃない。脳みそなんだよ、先生。」(2009年9月15日 La Repubblica)

 

 

放映日を変更させられた政治討論番組の司会者とディレクターは新聞インタビューなどでエラい怒ってたんですが、当夜、代わりに放送した映画が『ヒトラー 〜最期の12日間〜』だと言うあたり、グッジョブ!!
久し振りにイタリア人の気概を見せてもらいました。

[後記:2009/9/17]
ちなみに記事内で紹介しているベルルスコーニ首相の独占番組の視聴率が13.47%。
一方、首相の長男が経営している民放局が放映したマフィアドラマが22.61%も取ってしまいました。
これって、ホントはこの夜に放送するはずのニュース情報番組を変更させた穴埋めに過ぎないんですけどね。

 

イタたわニュース関連記事
伊首相、娘からの攻撃詳細:ベルルスコーニ淫行疑惑
ベルルスコーニ買春パーティーの真実:首相と寝て、金をもらって、選挙に出され…
選挙敗北はノエミとカカと妻のせい…ベルルスコーニ愚痴る!
首相、美人政治家に敗れたり!! − 欧州議会選挙 −
伊首相、TVで離婚問題を激白


Pocket

No comments yet.

コメントを残す

スパム防止の為、計算に答えて下さい * Time limit is exhausted. Please reload the CAPTCHA.

Top