マフィアに背いた少女の映画化で遺族から損害請求

マフィアの家に生まれながら、11才の時に父を、その後、兄をもそのマフィアに殺され、わずか17才でマフィアを訴えでる決心をしたシチリアの少女がいます。
イタリア映画界が彼女の半生を放っておくわけもなく、しかしながら、これほどデリケートな実話ゆえ、問題が起きないわけもなく…。

 

パレルモ 『マフィアに背いた少女、対マフィアの中での戦い』

リタ・アトリアと言う実在の少女を描いた映画 『運命に逆らったシチリアの少女(La siciliana ribelle)』 が10日前から劇場公開されているのだが、監督のマルコ・アメンタ氏(38才)と遺族の間で損害請求をめぐる論争が繰り広げられている。
同作品の主人公リタ・アトリアさん(享年18才)とは、マフィアに真っ向から戦いを挑んだ少女であり、92年に起きた 『ダメリオ通り惨殺事件』で反マフィア治安判事パオロ・ボルセリーノ氏がマフィアに殺されたことに失望し、事件の1週間後に自らの命を絶っている。
そのリタさんの実兄の妻で、やはりマフィアを裏切って司法協力したピエラ・アイエッラさんの重大告白インタビューがYou Tubeで公開されていたのだが、アメンタ監督がYou Tube側に同映像の削除請求を出し、先日、受理されたのだ。
ピアラさんは、リタさんが法廷でマフィア犯罪を暴き立てるのを支え励ましていた存在であり、インタビューの中ではアメンタ監督が家族のプライベート写真やビデオを使用した事や、証人保護のもとで生活しているピエラさん母娘を危険にさらした事について非難しており、娘のヴィタマリアさん(17才)も、
「アメンタ監督は自分の仕事のために、ただ私達を利用したいだけで……私達の事を利用して儲けようとする人達なんかのために、また一からやり直さなければならなくなるなんて嫌です。」と訴えいている。

ピアエラさんのインタビュー映像の行方。
同映像の製作を手がけたピーノ・マニアチ氏と言えば、シチリアで地域TV局を運営し、対マフィア運動でも有名である。そのマニアチ氏もまたアメンタ監督に対峙する立場をとり、You Tubeによる削除処置に憤慨、反論すべく、早急に別のWebサイトで同映像を公開させている。
「アメンタ監督があの映像を検閲し、誰かが恐怖のためにそれに応じたのだとしても、なんら驚きませんよ。すぐにmogulus.comの方へ移しましたしね。」
また、アメンタ監督はルイジ・チョッティ神父の映画に対する記者会見に参加するため、月曜日にはローマへ向かうと言う情報が入っているが、チョッティ神父と言えば対マフィア組織『Libera』の責任者を務め、アメンタ監督自身へも「辛辣な論争になることは好まない」と伝えている。また、チョッティ神父はピエラさんらへも手を差し伸べ、
「私達はマフィア被害者とその家族を支援しています。ピエラさんや、その娘さんが誠実な人達だと言うことは知っていますよ。」と話している。
しかしながらYou Tubeは、チョッティ神父がアメンタ監督に向かって以下のようにはっきりと言い放った映像も検閲削除しているのだ。
「各人が自省するのです。このような誠意のない態度を、引出しの奥にしまい込むことはできない。きつい言い方ですが、私はマフィアと戦う際の一番の敵は対マフィアの現実なのだと、何年も前から訴え続けてきました。しつこく繰り返しますが、私達に必要なのはドラマや映画制作を減らし、一貫性を増してゆくことなのです。」

メディアを使った一撃。
少なくともYou Tubeで公開されたインタビュー映像はピエラさんに良く似た声を使っての非難であり、アメンタ監督にとっては誹謗中傷と考えざるをえなかった。
ピエラさんのことは『リタ・アトリア協会』の責任者ナディア・フルナーリさんも、「あの宣伝マシンにはゾッとさせられる」と支持している。
アメンタ監督は、長く逃亡し続けていたマフィア・ボス、ベルナルド・プロヴェンツァーノの映画『Il fantasma di Corleone(原題:コルレオーネの亡霊)』をも論争の狭間で製作したのだが、これからもあらゆる非難を押しのけながら厳しい状況に立つこととなる。
「チョッティ神父はいつも私達側にいてくれたし、『Libera』では私達が撮ったリタさんのドキュメンタリーを使っていました。そのドキュメンタリーについては、97年のヴェネツィア映画祭でフルナーリさんも拍手喝采してくれたんです。それに、ピエラさんは報酬を受け取っているんですよ。」
さて、ここに至って新たな問題が出てくることとなる。
ピエラさんは、
「一銭も受け取っていません。むしろ彼の方が写真やビデオを返しもしないで、別の映画に利用したくせに。」と言うが、アメンタ監督も黙ってはいない。96年にピエラさんが署名した「インタビューの報酬として300万リラ受領」と記された手紙を持ち出し、
「素性を伏せた生活している方々ですから、当たりたくなる気持ちも分かります。しかし、この手の毒は社会の最前線で戦う力を弱めるものであり、コーザ・ノストラ(シチリア・マフィア)の助けとなります。」と訴える。
チョッティ神父の立ち会いのもとで、アメンタ監督とピエラさんが和解のための話合いをすると言うが、監督はこう言う。
「一騒動になるでしょうが、もう映画はミラノとトリノで公開中ですから。」(2009年3月11日 Corriere della Sera)

 

 

イタリアでは、新ドラマ『Squadra Antimafia:Palermo Oggi(原題:対マフィア捜査班、パレルモの現在)』のCMがさかんに流されていて、どうやら数年前にマフィアの大ボスを演じた俳優が今度は警察副署長役らしいんです。なんだか、もう…。
ちなみに、記事で紹介した映画『運命に逆らったシチリアの少女(La siciliana ribelle)』の日本公開は、イタリア映画祭2009において4月30日、5月3日となっております。詳しくは公式サイトの方で、どうぞ。

 

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