マフィアの娘が激白、トト・リイナを父に持って…【後編】

先日、コーザ・ノストラ(シチリア・マフィア)史上、最も凶悪とされた男トト・リイナの娘が、かつての逃亡生活から現在の苦悩、未来への希望までを激白したインタビュー記事の前編を掲載しましたが、本日は後編の方をどうぞ。

コルレオーネ 『トト・リイナを父に持つ人生 − 後編 − 』

—裁判記録から浮かび上がる人物像と、実の娘が描く人物像が明らかに違うのは当然ですが、どうしたら多くの殺人を犯した人間が、モラルや敬意について語れるものなのでしょうか?
「だから私は、奇妙な感じがすると言っているんです。でも、私にとって父はそんな風です。そんな風に父を見てきたし、今でもそうです。」

— あなたは19才の時から家族と一緒に逃亡生活を送っていましたが、1993年にはコルレオーネの町に戻って来ていますね。世間から姿を消した状態から、また普通の状態に戻ると言うのはどんな感じでしたか?
「第二の人生のようでした。それまでは絶対にできなかったある事ができるようになったのです。それは親戚の人達に会いに行く事です。叔母さん全員と、それから祖母に会いに行きました…。」

— コルレオーネの町はあなたの父親が牛耳ってきた王国であり、人によってはシチリアで最もマフィア的で、“ 恐怖 ”でもってあなた方家族が守られていた町だとも言われていますが、そこへ戻って来たときはどんな感じでしたか?
「私達は町に迎え入れられ、孤立することはありませんでした。むしろ、たくさんの人達が私達が居心地が良いように取計らってくれました。まるで、ずっと昔からそこに住んでいるみたいでした。」

— リイナの姓を名乗って得をしたことも多かったでしょう。シチリアを震え上がらせた名字ですからね。自分には何らかの力があると感じたことはありますか?
「この名字のせいで私が苦労したことについては、どうして考えてもらえないのでしょう?」

— どんな苦労ですか?
「私達にとって真の問題はいつも、仕事を見つけられないと言うことです…。誰もが新聞沙汰になることや、私達の仲間だと思われることを恐れています。以前、私はパレルモで協同組合の講習に通っていたことがありますが、ある時、辞めるように言われました。さもないと協同組合の方を閉鎖するからって。言われて嬉しくない事ってあります。こう思って当然でしょう。“ 私は何もしていない。きちんと他の人達と接していた。リイナ家の人間だと言うだけで罪人扱いされた。そして、これからも同じ事は起きるのだ。”って。」

— しかし、トト・リイナは国家にとって常に “ ボスの中のボス ” だった事を、あなたは忘れているのですか?
「でも私にとって、これはもう生き地獄です。昔、私は金融機関が企画した講習に申し込んだことがありました。ミラノまで出向いて、全て上手くいっていました。他の人達や責任者の方とも親しくなって、本当に万事順調だったんです。でも、私の身分証に書かれている姓名、出身地を見られ、そして遂には、あの運命を決める質問です。“ 親戚なんですか? ”って。“ はい、家族の者です。”って答えました。私は自分から“ リイナの娘です ”と名乗って歩くことはありませんが、もし聞かれたら、ちゃんと答えます。それから30分もしない内に責任者に呼ばれて、どうして最初に言ってくれなかったんだってムッとされました。その責任者にとっても、企業のイメージにとっても重大問題だったんです。」

— あなたの父親の話に戻しましょう。16年前から隔離された状態にいますが、面会で分厚いガラス越しに会った時、父親が訴えられている内容に関して尋ねたことはないのですか?
「1993年1月16日の朝が、父に直接触れることができた最後でした。あのガラスがなければね…。以前は、よく面会に行きましたが、今は複雑です。私には子供が3人いますから。刑務所法追加第41条があるから、父は最低の状況におかれています。他の受刑者とも会えず、父専用に隔離されたエリアにいるんです。」

— リイナ家には、もう男性はいませんよね。弟のジャンニは殺人罪で終身刑、叔父のレオルーカ・バガレッラは1995年から服役中、最近はもう1人の弟サルヴォも余罪で再収監されましたね。あなたは刑務所内での “ 苦悩 ” について語っていますが、父親や弟達の犯罪記録などを読んだことがないのですか?
「父達は償うべき罪を償わなければなりませんし、私は裁判や判決にとやかく言う気はありません。ただ、私は苦しんでいるのだと言っているだけです。特に、弟のジャンニは青春時代をあまり過ごしていないから可哀想で。私には、ジャンニは怒りと憎しみの中で生き続けずに済むんじゃないかって思えるんです。刑務所の中で教育を受け、なにか仕事を学ぶことだってできるんじゃないかって。」

— あなたは普通の生活について語り、常に父親のことをかばいますが、その咎められている犯罪から遠くに身を置くことは決してしませんね。どんな未来を思い描いているのですか?
「娘としては、全てが変わって欲しいです。私にとっても、夫にとっても、自分の子供達にとっても。できれば、普通の…それか、普通に近い人生を望んでいます。仕事ができれば良いですね。私自身や私自身の行いで、人から判断されるようになって欲しいです。特に自分の子供達は、他の子供同様に「明日の大人」として見てもらえれば良いです。今日、私がこうして話しているのは、あの子達のためなんです。」

— コルレオーネの町を離れようと思ったことはないのですか?
「どうでしょうね。もしかしたら、いつか…。」
(2009年1月28日 La Repubblica)

 

 

東野圭吾原作で『手紙』と言う日本映画がありますよね。
殺人罪で服役中の兄を持つ主人公が世間から差別や偏見を受けて苦労する…と言うストーリーなんですが、この映画を見たイタリア人が「日本の社会は冷たい。イタリアで、この主人公のような境遇だったら、陰口ぐらいはたたかれるが職場を追われたり左遷させられたりはしない。」と言っていました。
どうやらマフィア犯罪に関しては別のようですね。

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