ブロークバック・マウンテンに検閲?抗議殺到で再放送決定

以前、イタリアのTVでトルナトーレ監督の作品を見た時、日本の劇場公開バージョンよりも長くて喜んでいました。『海の上のピアニスト』は原作の「独り語り」の雰囲気がもう少し漂っていたし、『マレーナ』の方は主人公は自らの意思で娼婦になった…と言う印象が強く出ていた記憶があります。
しかし、喜んでばかりもいられません。映画によっては短くなることもあるのです。あの分野では、特に…。

ローマ 『国営放送がブロークバック・マウンテンを検閲カット』

イタリア国営放送が8日夜10時45分より放送した米映画『ブロークバック・マウンテン』で、同性愛者間の性描写シーンがカットされていたことに対し、同性愛者の人権擁護団体「ArciGay」会長らより多数の抗議が殺到している。
同団体会長のアウレリオ・マンクーゾ氏は、次のようにコメントしている。
「ヴェネツィア映画祭ではグランプリを、そしてアカデミー賞やゴールデングローブ賞を多数受賞している作品に対し、こんな50年代に行われていたような検閲カットを一体誰がしたのか。男性同士のキスシーンやベッドシーンが、成人視聴者にとって見るに耐えがたいものだと一体誰が考えたのか。我々は、国営放送の責任者らによる公式説明を、また、国営放送監視委員会による介入を求めます。公共のテレビ放送が、イタリア国内に蔓延する同性愛嫌悪の風潮を、どんな形であれ支持するべきではありません。早急に同映画の完全版が放映されることを求めます。」
一方、同コメントに数時間ほど遅れて、国営放送局からは以下のような説明がなされた。
「なんらかの検閲がなされた訳ではなく、一連の偶発的な出来事により完全版が放送されなかっただけです。同映画の放映権はBIM配給会社より入手したもので、早い時間帯で放送できるようにとカット版が発注され、完全版の方は発注されていませんでした。今回は完全版の放送を予定していましたが、よく確認せずにカット版の方が放送されてしまったのです。当放送局は完全版での再放送をお約束します。」
これら一連の経緯に対し、性同一障害者で元国会議員のウラジミール・ルクスリアさんは次のように語っている。
「あの検閲カットは変だと思いました。先週、『トランスアメリカ』がノーカットで放送されたばかりだし、私が出演していたバラエティー番組だって放送された後だし。国営放送のディレクターは、あの検閲カットは局がしたものじゃないって言っていたし、あんな有名な受賞作品をカットして放送するなんて、まるで首なしのモナリザを見せるようなものでしょ。」
しかし、国営放送局からの説明にもかかわらず、依然、抗議の声は続いており、自由の人民党のデッラ・ヴェドヴァ下院議員は、
「国営放送があのような名作に対し検閲をするのは奇怪なことです。ポルノ税がかかるようになっても、この手の検閲カットはされるべきではないでしょう。今回、過激なシーンだからではなく、同性愛関係を表現しているから検閲されたのなら、奇怪どころではなく執拗な差別行為と呼べるでしょう。このような理由で検閲するのは、放送しないよりもたちが悪い。国営放送局の社長には、どのように配給会社を選択しているのか説明していただきたい。」と訴えている。(2008年12月9日 Corriere della Sera)

 

 
実はこの国営放送、5〜6年前にはアルモドバル監督の『オール・アバウト・マイ・マザー』でもやってくれています。あの時は、予定していた放送が当日ドタキャンになり、さんざん問題になってから1ヶ月後に放送していました。
チャレンジ精神はあるんでしょうが、どうも尻切れとんぼで。


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