沈黙の掟を守るマフィアの女たち

イタリア版「極道の妻たち」は、むちゃくちゃ大変そうです。
…いえ、ほめられるような話じゃありませんが。

イタリア 『マフィア − 女たちの支配力 − 』

最近、逮捕されたマフィア組織の女性と言えば、マリアンジェラ・ディ・トラパニ(40才)。コーザ・ノストラ(シチリア・マフィア)の活動に関与したとして、先週、逮捕されたばかりだ。
マリアンジェラの父と二人の兄、そして夫もまたマフィア構成員であり、全員殺人罪などで終身刑を受けている。そのうえ夫の家族もマフィアであるため、マリアンジェラはマフィアボスの舅(終身刑を受け、昨年、刑務所内で死亡)、マフィア構成員の義兄弟三人(現在も服役中)を持つことになる。
マリアンジェラの兄が面会の際に、妹について語った内容が盗聴されている。
「子供時代、妹は苦しんでいたよ。俺や父親が逃亡生活を続けていたから、学校に行けなくてね。妹は俺達のことを慕って、一緒について来てしまったんだ。学校では良くできた子だったから、行きたがってたね…。」
そのマリアンジェラも今や一児の母親。子供は服役中の夫との間に人工授精でもうけた。
今回、マリアンジェラが収監された理由は、刑務所法追加第41条(犯罪組織構成員やテロ犯罪者のための特別法:その他の犯罪構成員らとの接触規制、面会の回数および様式の制約、屋外での運動制限、通信の検閲等)下により各刑務所で服役している兄達の間を行き来し、暗号などを用いて連絡係を請負っていたこと。そして、マフィアの資金、不動産の管理を行っていたこと。
マリアンジェラの姑(84才)もまた同容疑で取調べを受けたが、高齢を理由に拘留はされていない。しかし、コーザ・ノストラ(シチリア・マフィア)関連で取調べられた女性では最高齢者となるだろう。
公安警察による通称『Rebus(エニグマ)』捜査では25名以上の女性が、マフィア組織が所有する不動産の名義貸与の容疑で取調べを受けている。
『Donne d’onore(沈黙の掟を守るマフィアの女たち)』とは、コーザ・ノストラ(シチリア・マフィア)、カモッラ(ナポリ・マフィア)、ンドランゲタ(カラブリア・マフィア)、その他の犯罪組織に参与する女性達を指し、司法省の資料によれば、今年6月30日までに刑務所法追加第41条を犯したために拘留された女性は84名、うち47名が判決待ち、11名が第一審判決を受け、1名が控訴中、25名が終身刑を受けている。
イタリアの刑務所に刑務所法追加第41条を犯し収監されている「マフィアの女たち」は47名。マフィア組織に加担した受刑者を加えると優に100名を越えるが、同様の罪状で服役している男性の数は6,000名以上である。
かつて、「マフィアの女たち」が新聞の第一面を賑わすのは希有なことであった。1999年にシチリア島パレルモのヌンツィア・グラヴィアーノが逮捕された時には、服役中の兄達に代わってマフィア組織を動かしていた「女性支配者」として一躍脚光を浴びたものだ。当時の裁判官が記したところによれば、ヌンツィアはファミリーの投資に向け、常に経済新聞などで為替の動向を追っていたと言う。
このような事実に対し『Rebus(エニグマ)』捜査に加わった検察官ガエターノ・パーチ氏は、次のように話している。
「マフィア組織が女性に対し、機会均等政策を取っているわけではありません。マフィアは今も昔も男性社会に変わりないが、男性陣がほとんど収監された際には、女性陣の手が必要となるのです。」
また、刑務所法追加第41条には限界があり、パレルモの捜査官らが『除去推進』と称え、さきのマリアンジェラ捜査でも裏付けされたのがモニター監視である。
イタリア国内の各刑務所に収監された兄達との面会のために、不正な資金源で取得された飛行機や自動車を駆使して飛び回るマリアンジェラの姿がモニター監視されていたのだ。その他にも密書や、彼らだけに容認された電話面談なども見られる。
逮捕時に裁判官らが、次のように記している。
「刑務所内から指令を出すマフィアボスの存在は、国家の安全を想うすべての人が想定し得る問題である。マフィアが外界と連携して犯罪活動をなしえるかについては、確かな根拠があるとは言えないが。」
ファミリーの女性達は、男性陣が服役中に、時には逃亡生活を送っている際にも連絡係を務めている。
例えば今年の夏、ンドランゲタ(カラブリア・マフィア)のボスの妻が逮捕されたのだが、妻が刑務所へ面会に行くと、ボスである夫がパウロ・コエーリョ作の小説『ザーヒル』を用いながらよく話していた英数コードは、おそらく外部へ流すためのメッセージだったとされている。
また2週間前にオランダで逃亡中のマフィア構成員が逮捕された際には、その妻および二人の姉妹が同行していた。
現在、レッジョ・カラブリア市で検事補佐を務めるミケーレ・プレスティピノ氏は、次のように語っている。
「以前、私がパレルモの対マフィア組織で働いていた時に、多くの「マフィアの女たち」を見てきました。なかには逮捕後、司法協力する者もいました。昔の「マフィアの女たち」は、夫や兄弟らが外で戦っている間、家の中にいてマフィア権力の庇護の下に守られていたが、最近は、男たちが長々と拘留されている間、連絡係を務め、テリトリーを維持しながら、家の外を守っているのです。」(2008年12月6日 Corriere della Sera)

 

「マフィアの女」を描いた映画作品では、ロベルタ・トッレ監督の『アンジェラ』をお勧めします。夫の舎弟でもあるマフィアの若衆に惹かれてゆく主演のドナテッラ・フィノッキアーロ、たまりません。特に、冒頭のオレンジを食べるシーンは同性の目から見てもエロティックです。

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